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父が転倒した原因はなんと病院職員

 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)では、1990年に活動を開始して以来、医療に関する電話相談を実施しています。これまで、5万件を超える相談に対応してきました。この連載では、プライバシーに配慮した上でCOMLの会報誌に掲載された相談内容と、COMLからのアドバイスをご紹介します(本記事はCOML会報誌2015年4月号からの転載です)。

 75歳の父は約3年前からパーキンソン病を発症し、軽い認知症の症状もあって、リハビリを兼ねて1年前まで療養病棟に入院していました。パーキンソン病の症状が安定し、精神的にも落ち着いて退院の見通しがついてきた頃、院内で転倒して右大腿部を骨折してしまいました。そのため、手術が可能な病院に転院して、3ヵ月の入院生活を余儀なくされたのです。父は入院中にすっかり筋力が落ちてしまい、それ以来、歩くには歩行器を要している状態です。

歩行器を利用してる父は、職員から投げられたボールを避けようとしてつまずき、かなり激しく転倒したことが判明した。(©Levente Gyori -123rf)

 私(娘)は当初、父はパーキンソン病で足元が不安定なのが、転倒の原因だと思っていました。それまでにも軽い転倒は何度もあったからです。しかし、骨折して手術を要するほどの転倒は初めてだったので、転倒した経緯を文書でほしいと病院にお願いしていました。また、私への連絡や、手術ができる病院への転院も転倒の翌日だったので、その理由も併せて説明を求めていました。しかし、何かと理由をつけて文書は作成されず、ようやく病院が重い腰をあげて説明の場を設けたのは、転倒から3ヵ月後でした。

 そこで初めて事実関係がわかったのですが、転倒事故は日曜日におこなわれていたリクレーションのボール投げのときに起きたのだそうです。父はリクレーションに参加していませんでしたが、その横を通りかかったときに、リクレーションの担当をしていたスタッフが参加を促そうとして、父にボールを投げたのだそうです。驚いた父は、とっさにボールを避けようとしてつまずき、かなり激しく転倒したとのことでした。さらに、ボールを投げたスタッフは、父がパーキンソン病であることを知らなかったというのです。病気や病状も知らない患者に向かっていきなりボールを投げるなんて、理解に苦しみました。

 そのうえ、父が立ちあがることもできず、痛そうにしていたにもかかわらず、当日は日曜日だったので、翌日まで別の病院への搬送は待った。そして、私への連絡も「遠く離れてお住まいなので、転院先が決まってからのほうがいいかと思いまして……」と言葉を濁すように言われました。

 その後、病院の事務長から電話がかかってきて「顧問弁護士と相談した結果、治療費30万円、慰謝料20万円でいかがでしょう」と言われました。その連絡も、誠意のかけらも感じられない口調で、気持ちを逆なでされる思いでした。父の転倒事故に絡んで私が移動した交通費などを考えると、とてもじゃないけれど、納得できる金額ではありません。市の無料相談で弁護士に相談してみたのですが、「相手はそれ以上支払う気はないでしょうね」と言われ、あまり親身に考えてもらえませんでした。どうすればいいのでしょうか。

COMLからのアドバイス

 確かに、どのような患者さんかも把握していないのに、いきなりボールを投げつけるというのは、乱暴な話です。ましてや、それを避けようとしてケガをしたわけですから、病院としてはもう少し誠実に迅速な対応があってしかるべきかと思います。

 相談者には、患者側で医療の問題に取り組んでいる弁護士のグループがあるので、弁護士のセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法であることをお伝えしました。そのうえで、個人で交渉する場合や調停など、考えられる方法について説明しました。

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療に参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現を目的としている。患者の悩みに対する電話相談、各種セミナー・講座などに積極的に取り組んでいる。

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