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小保方氏の博士号、論文再提出なければ取り消し

早稲田大、調査委員会の結論を受けて慎重に協議した結果を発表

 久保田文=日経バイオテク

出典:日経メディカル 2014年10月8日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

記者会見で「苦渋の決断だった」と述べた早稲田大学の鎌田薫総長。

 早稲田大学の鎌田薫総長らは、2014年10月7日に記者会見し、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)研究ユニットリーダーの小保方晴子氏に授与した博士学位を取り消すと10月6日付けで決定したと発表した。ただし、大学側の指導・審査過程に重大な不備・欠陥があったと認められることから、取り消しまでには猶予期間を設け、相応の博士論文が再提出されれば学位を維持するとの異例の対応を決めた。

 早稲田大の学位規則第23条では、博士学位を取り消せるのは「不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明した時」とされている。2014年7月、早稲田大学が設置した調査委員会は、小保方氏の博士論文に米国立衛生研究所(NIH)のウェブサイトの文章の序文への流用や、バイオ企業のウェブサイトの肝細胞培養キットの写真の流用など、11カ所の不正行為が認められたと認定したものの、論文のベースとなった実験や研究の実在性はあると結論。小保方氏のずさんさや注意力の欠如によって、製本・提出すべき博士論文と取り違えたものだったと認めた。また、認定された不正行為と学位授与との因果関係は認められないとして、学位取り消し規定には該当しないと結論していた。

 しかし今回、早稲田大は調査委員会とは異なる結論を出した。鎌田総長は、「博士論文のベースとなった研究の実在性はあると考えられ、小保方氏自身、博士論文の公聴会でも優れた発表を行っている。しかし、小保方氏が製本・提出すべき博士論文と取り違えたとしている点は、尽くすべき最低限の注意義務を怠った研究者としてあり得ない行為であり、重大な過失であると考えている。故意ではないにせよ、我々としては一歩踏み越えて博士学位の取り消しに値すると考えるに至った」と説明した。

 と同時に、「多くの単純ミスが含まれているような博士論文が審査を通過して博士学位が与えられた」(鎌田総長)ことについて、指導・審査した大学側にも不備や欠陥があると認められることから、猶予期間を設ける異例の対応を決めたという。鎌田総長は、「今回の結論は、『学問の府』として不適切な内容を含む学位論文がそのまま公開されている状態を放置しないこと、『教育の場』として指導と責任を放棄しないこと、という2つの基本方針に従って出したものだ。苦渋の結論だった」と話した。

 猶予期間は約1年間。早稲田大は猶予期間中、先進理工学研究科長の責任の下で、小保方氏に対して博士論文の指導、研究倫理の再教育を行い、論文を訂正させる。「必要があれば学内の専門家も交えて、指導・再教育を行うことも検討する」(橋本周司副総長)。指導・再教育を受けるため、小保方氏は早稲田大に通う必要があるという。訂正された論文が再提出されれば、先進理工学研究科の運営委員会での評価を経て、最終的に総長権限で博士学位を維持するかどうか決定する。鎌田総長は「小保方氏側には、昨日付で今回の通知を送付しており、受領翌日から起算して1年間が猶予期間になると認識している」と話した。

 一方、今回の問題を受けて、早稲田大は全ての研究科を対象に、盗用の有無などをチェックできるソフトなどを利用して、不適切な博士論文の有無について自主調査を進めている。主に電子データで保存されている8、9年分の博士論文が対象になるといい、既に700報の博士論文のチェックが終了した。「全ての博士論文について学位授与に相当する研究実態があったが、研究の本質的な部分以外において不適切とみなされるカ所がある博士論文が複数発見された」(橋本副総長)。これらの博士論文については、不正行為によって学位の授与を受けた事実が判明した場合、学位を取り消すほか、取り消し相当でない場合にも、訂正など適切な是正措置を行うという。

 加えて早稲田大は、10月6日付で「過程博士における博士学位および博士学位論文の質向上のためのガイドライン」を策定したことも発表。今後、すべての研究科に対して研究の特性に応じた指導体制や論文審査体制を再構築するよう指示しており、今後評価・改善に努めるという。

この記事は、日経メディカルからの転載です。

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