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外傷:頭部外傷

頭部外傷後遺症

とうぶがいしょうこういしょう、Sequelae of head injury

並木 淳

どんな障害か

 現在の医療では、損傷した脳細胞は再生しないため、損傷部位の脳細胞が行っていた機能が失われると後遺症が残ります。

症状の現れ方

 局所の脳組織の挫滅(ざめつ)(脳挫傷(のうざしょう))では、受傷部位から後遺症の予測が可能です(図3)。

 片側の前頭葉や側頭葉の前から数㎝までの範囲は、比較的後遺症を起こしにくい場所です。前頭葉のいちばん後ろには手足を動かす運動中枢があり、侵された側と反対側の半身の麻痺(片麻痺(かたまひ))を来します。前頭葉の後ろには頭頂葉があり、頭頂葉のいちばん前には手足の感覚(体知覚)の中枢があります。体知覚中枢(たいちかくちゅうすう)は運動中枢と接して存在するため、通常は運動麻痺と感覚障害の両方が認められます。そのほか、言語障害は一般に左の脳の障害で起こりやすいとされています。

 広範囲の損傷や、脳の深部の損傷では意識障害が後遺症として残ります。重症の場合には、開眼はしていても意思の疎通ができず、運動や言語も損なわれた遷延性(せんえんせい)意識障害(いわゆる植物状態)になります。生命維持中枢(脳幹(のうかん))の機能は保たれているので、呼吸や心臓機能に障害は認められず、脳死とはまったく異なります。

外傷性(がいしょうせい)てんかん

 頭部CTで脳挫傷(のうざしょう)などの脳組織の損傷が認められる時や、脳の損傷による症状がある場合に、外傷性てんかんを起こす可能性が高いと考えられています。

 外傷性てんかんの発生頻度は、入院を要した頭部外傷患者の5%以下、昏睡(こんすい)状態の重症頭部外傷では15~35%で、発症する場合は受傷後1年以内で約50%、2年以内で80%程度と報告されています。

 コラム「外傷性てんかんの予防」も参照してください。

図3 脳の機能解剖図
外傷性てんかんの予防

 頭部外傷後のてんかんのうち、外傷が原因の場合を外傷性てんかんと呼びます。治療には通常、抗てんかん薬(アレビアチン、フェノバールなど)の注射や内服が行われます。治療的投与と予防的投与の2つがあり、実際はほとんどの場合が予防的投与です。

 治療的投与とは、頭部外傷後の脳が最も不安定な受傷後1週間を過ぎてから、実際にてんかんの発作を起こした場合(晩期てんかん、あるいは狭義の外傷性てんかん)に抗てんかん薬を投与することをいいます。予防的投与は、受傷後1週間を過ぎてからは1度もてんかん発作を起こしていない場合に投与することです。

 抗てんかん薬の予防的投与の期間は、日本の治療ガイドラインでは受傷後3カ月、重症脳損傷がある場合は2年をめどとする、とされています。投与中止の判断は、症状としててんかん発作を起こしていないことと、脳波検査の所見を参考にします。

並木淳

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