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遺伝的要因による疾患:神経・筋疾患

デュシェンヌ型・ベッカー型筋ジストロフィー

デュシェンヌがた・ベッカーがたきんジストロフィー、Duchenne muscular dystrophy, Becker muscular dystrophy

松尾 雅文、八木麻理子

どんな病気か

 デュシェンヌ型・ベッカー型筋ジストロフィーは、最も頻度の高い進行性の筋萎縮症(きんいしゅくしょう)で、男児出生約3500人に1人の割合で発症します。

 ともに、X染色体上に存在するジストロフィン遺伝子の異常によって発症するX連鎖性劣性遺伝性疾患(れんさせいれっせいいでんせいしっかん)ですが、患者さんの母親の約3分の1は保因者ではなく、ジストロフィン遺伝子の異常をもっていません。この場合は、母親の体内で卵子がつくられる時に、遺伝子に異常が起こった突然変異が原因と考えられています。

症状の現れ方

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、乳児期には明らかな症状は現れず、多くは3~5歳ころから、走るのが遅い、転びやすい、ジャンプができないなどの症状で気づきます。筋力低下の症状として、床から立ち上がる時に、膝に手を当て自分の体をよじ登るようにして立つ、登はん性起立を示します。

 筋力低下は徐々に進み、10歳前後~12歳までには歩行不能となり、車椅子での生活になります。10代後半~20歳前後で筋力低下による呼吸不全や心不全がみられるようになります。以前は、呼吸不全や心不全のために20歳前後で亡くなっていましたが、呼吸補助療法の導入・改善などにより平均寿命は延びており、現在日本における平気寿命は約28歳となっています。

 ベッカー型筋ジストロフィーも、ジストロフィン遺伝子の異常によって発症する進行性の筋疾患ですが、デュシェンヌ型に比べると症状の進行が遅く、症状が現れる年齢は10歳前後~70代までと幅広い年齢層に及びます。筋力低下よりも心不全の進行のほうが早い場合があるため、筋力低下が進行していなくても、定期的に心臓の検査を行う必要があります。

検査と診断・治療の方法

 ジストロフィン遺伝子の異常の有無を検査する遺伝子診断と、実際に筋組織の一部を採取して検査する筋生検があり、これらの方法によって確定診断できます。

 現在デュシェンヌ型・ベッカー型筋ジストロフィーに対する根治的治療法はありません。しかし、筋症状に対するリハビリテーションや、呼吸不全に対する呼吸補助療法(鼻マスク式人工呼吸器の使用、痰の排出の介助)、心不全に対する薬物治療を、早期から段階的に行い、患者さんとその家族の日常生活をよりよいものにすることが大切です。

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