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遺伝的要因による疾患:神経・筋疾患

福山型先天性筋ジストロフィー

ふくやまがたせんてんせいきんジストロフィー、Fukuyama type congenital muscular dystrophy (FCMD)

松尾 雅文、八木麻理子

どんな病気か

 乳児期早期に発症する先天性の筋萎縮症(きんいしゅくしょう)で、徐々に進行する筋症状に加え、脳の形成障害、眼症状を伴います。

 9番染色体上に存在するフクチン遺伝子の異常によって発症する常染色体劣性遺伝性疾患(じょうせんしょくたいれっせいいでんせいしっかん)で、海外では非常にまれな疾患ですが、日本では小児期に発症する筋ジストロフィーのなかで2番目に多く、約10万人に2~11人の割合で発症します。これは、日本人に特有のフクチン遺伝子変異があり、日本人の約88人に1人がこの遺伝子変異の保因者であるためです。

症状の現れ方

 新生児期あるいは乳児期早期から、筋力や筋緊張の低下を認め、首のすわり、寝返り、お座りが遅いなどの症状で気づきます。多くの場合、運動能力は徐々に発達し、3~8歳には、座位での移動(いざり)や四つ這いができるようになります。まれに、歩行が可能となる場合もあります。

 筋力低下はゆっくりと進行し、8歳以降は運動能力は徐々に低下していきます。筋力低下が進行するとともに、呼吸障害や心機能障害、摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害が認められるようになります。また、顔面の筋力低下を伴うことが特徴的であり、ふっくらとした頬、ポカンと開いた口、表情の乏しい顔貌(がんぼう)を認めます。

 筋症状以外に、脳の形成障害を合併するため、ほぼ全例で知能障害を認め、けいれんも半数以上で認めます。また、眼の異常も合併し、近視、視神経萎縮などがよくみられます。網膜剥離(もうまくはくり)や白内障(はくないしょう)、緑内障(りょくないしょう)などを認めることもあります。

 死亡年齢は2~27歳とばらつきがありますが、20歳を超えて生存することは少なく、肺炎、心不全、呼吸不全が原因で亡くなることが多いです。

検査と診断・治療の方法

 フクチン遺伝子の異常の有無を調べる遺伝子診断により、確定診断できます。実際に筋組織の一部を採取して検査する筋生検では、その他の先天性筋ジストロフィーとの区別が難しく、最近では、遺伝子診断が優先されます。

 現在、福山型先天性筋ジストロフィーに対する根治的治療法はなく、リハビリテーションによって運動の能力を少しでも維持することや関節の拘縮(こうしゅく)を防止することが主体となります。

 また、けいれんに対する抗けいれん薬内服、呼吸障害に対する鼻マスク式人工呼吸器使用や、心機能障害に対する薬物治療、摂食嚥下障害に対する経管栄養や胃ろうの併用など、合併症に対してそれぞれの症状に応じた適切な治療を行い、患者さんとその家族の日常生活がよりよいものにすることも重要です。

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