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感染症・食中毒など:中毒による病気

パラコート中毒、ジクワット中毒

パラコートちゅうどく、ジクワットちゅうどく、Paraquat and diquat poisoning

吉岡 敏治

どんな中毒か

 パラコートは英国で開発された除草剤で、除草効果が強く、1965年に発売されて以来、除草剤市場を占有してきました。しかし、パラコートによる服毒自殺や犯罪が年々増加し、日本でも死者数が年間1000人を超えるに及んで、社会問題になりました。

 1986年にその毒性を軽減するため、従来品の24%から5%に希釈(きしゃく)され、毒性の低いジクワットとの複合剤となりました。また、濃度の希釈に加え、誤飲防止のために、青緑色色素、苦味剤、臭気性物質、催吐剤(さいとざい)が混入されました。

 その結果、死者数は1986年の1202人をピークに減少し、97年には400人以下になりました。

 散布中の事故はほとんどなく、主に誤飲、服毒によって体内に入ります。パラコートが体内で還元されて生成した活性酸素による細胞膜脂質の障害と、接触した皮膚・粘膜への刺激、腐食作用が病態を形成します。

 活性酸素による細胞膜の障害は、あらゆる臓器の機能を損ないますが、肺への蓄積が特徴で、少量でも進行性の肺線維症(はいせんいしょう)に陥り、致命的となります。ヒトの経口最小致死量は30㎎/㎏です。

症状の現れ方

 服毒すると、混入されている催吐剤のために着色された青緑色の液体を吐きます。口腔内粘膜のびらん、着色がみられ、時に声がかれたと訴えます。服用1~数日後に肝機能・腎機能障害が現れます。

 最重症の場合はショック(蒼白、血圧低下など)、肺水腫(はいすいしゅ)から早期に死に至りますが、最小致死量程度の服毒の場合では、長期間生存したのち(時には数カ月生存後)、肺線維症により死亡します。このような場合では、肝機能障害や腎機能障害はいったん改善するので、肺障害以外は可逆性(元にもどる)といえます。

検査と診断

 状況証拠と青緑色に着色された口腔内のびらんは、診断の根拠になります。尿中のパラコートの分析は、ベッドサイドで簡単に実施でき、確定診断に有用です。

 来院時の血漿(けっしょう)パラコート濃度と摂取してからの時間により、生存例と死亡例が明確に区別できるとしたプラウドフットの報告が有名で、「プラウドフットの生存曲線」としてよく知られています。これは、ある程度以上のパラコートが吸収されれば、治療のいかんにかかわらず、救命できないことを示したものです。

治療の方法

 血中濃度がプラウドフットの生命曲線をはるかに超えた場合には、治療をしないことを提唱している報告が多くみられます。血中濃度から救命の可能性があると思われる場合や、血中濃度を測定できなくても推定服毒量が50ml以下の場合は、いわゆるボーダーラインと考えて積極的な治療を行います。

 治療はパラコート単剤でもジクワットとの合剤でも同じで、解毒剤はないので、徹底的な胃洗浄、小腸洗浄を行います。

 血液浄化療法のひとつである血液吸着は、分布容量から考えて極めて効率が悪いのですが、ほかに有効な治療法がないので、行われることが多くなります。そのほか、ステロイド薬のパルス療法(大量使用)、グルタチオン、活性酸素の消去剤であるビタミンEなどが併用されることもあります。

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