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感染症・食中毒など:細菌・ウイルスなどによる感染症/眼・耳・鼻・のど

トラコーマ

トラコーマ、Trachoma

下村 嘉一

どんな感染症か

 クラミジアという微生物による結膜炎です。衛生環境のよい日本では現在、トラコーマの発症はまずみられませんが、世界的には多い病気です。

 アフリカ、地中海東部、アジアなどのクラミジアの流行地域では繰り返し感染する機会が多く、トラコーマが発症するといわれています。日本では日清戦争時に、兵士がトラコーマに感染して帰国してから蔓延(まんえん)したといわれており、1910年代には日本のトラコーマ罹患率は20%を超したとのことです。

 なお、クラミジアによる結膜炎には封入体(ふうにゅうたい)結膜炎もありますが、これについてはコラムを参照してください。

症状の現れ方

 トラコーマは、以下の4病期に分類されます。

 ・第Ⅰ期

 5~12日の潜伏期間ののちに発症します。まぶたがはれ、結膜が充血してむくみ、粘液膿性の眼脂(がんし)(めやに)が出ます。眼瞼(がんけん)結膜には軽度の乳頭増殖と濾胞(ろほう)(小さなぶつぶつ)が現れます。

 ・第Ⅱ期a

 濾胞は大きくなり、結膜から角膜に血管が侵入してきます(パンヌス)。この病期は約3カ月から3年です。

 ・第Ⅱ期b

 細菌感染を合併し、乳頭増殖が強くなります。結膜の浸潤も強くなります。

 ・第Ⅲ期

 瘢痕(はんこん)形成が始まり、パンヌスが角膜をおおうようになります。角膜潰瘍を合併することが多いようです。

 ・第Ⅳ期

 まつ毛が乱生したり、眼瞼内反(まぶたが内側へまくれ込み、まつ毛で角膜や結膜が傷つく)、ドライアイになり、視力障害を残します。

検査と診断

 病歴と症状からほぼ類推することができます。

治療の方法

 眼科専門医を受診してください。時に手術療法が効果的です。

増えている封入体結膜炎(ふうにゅうたいけつまくえん)

 泌尿生殖器からクラミジアが感染する結膜炎で、現在増加しつつあり、注目を集めています。成人型封入体結膜炎と新生児封入体結膜炎があり、最近では両者を併せて「クラミジア結膜炎」とも呼んでいます。

 成人型封入体結膜炎

 感染している人の泌尿生殖器から、手指などを介して発症する結膜炎で、20~30代の成人がよくかかります。結膜に小さなぶつぶつができる急性濾胞性結膜炎(ろほうせいけつまくえん)や、耳前リンパ節のはれや圧痛(押すと痛い)が現れます。眼脂(がんし)(めやに)は粘液膿性です。多くは、結膜炎と同時に上咽頭や泌尿生殖器のクラミジア感染を合併します。

 結膜の組織をこすりとった標本で、クラミジアの封入体を認めれば診断が確定されます。蛍光(けいこう)抗体や酵素抗体による抗原検出も、迅速な病因診断法です。治療はオフロキサシンの眼軟膏を塗布します。

 新生児封入体結膜炎

 子宮頸管(けいかん)にクラミジアが感染している母親から生まれる時の産道感染によって発症します。現在、新生児結膜炎の10%を占めるといわれています。

 潜伏期間は5~12日で、まぶたのはれや結膜の充血、粘液膿性の眼脂などが現れます。眼瞼結膜はビロード状になり、偽膜(ぎまく)を形成することが多く、生後1週間前後で発症する偽膜性結膜炎を特徴とします。

 成人型と異なり、濾胞形成や耳前リンパ節のはれはみられません。約半分のケースに上咽頭のクラミジア感染が起こり、時に肺炎に進展することがあるので注意が必要です。

 成人型と同じく、結膜の組織をこすりとった標本でクラミジアの封入体を認めれば診断確定で、蛍光抗体や酵素抗体による抗原検出も迅速な病因診断法です。治療も同じく、オフロキサシンの眼軟骨を塗布します。

下村嘉一

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