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食道・胃・腸・肛門の病気:小腸・大腸の病気

薬剤起因性腸炎

やくざいきいんせいちょうえん、Drug-induced enteritis

坂田 祐之、藤本 一眞

どんな病気か

 医薬品の本来の目的は、病気に対する治療を図ることです。しかし、その目的に反して副作用が発生することがあります。薬剤の副作用として発生する大腸の病変を薬剤起因性大腸炎といいます。つまり、薬剤の投与によって腸管にびらんや潰瘍などの炎症が起き、腹痛、下痢や下血などの症状が生じる病気です。

 抗生剤によるものは抗生剤起因性腸炎とされ、それらはさらに偽膜性腸炎(ぎまくせいちょうえん)と出血性腸炎(しゅっけつせいちょうえん)に大別されています。

原因は何か

 薬剤起因性腸炎を起こす薬剤としては抗生剤が最も多く、その他の薬剤では非ステロイド性消炎鎮痛薬、抗がん薬、免疫抑制薬、重金属製薬、経口避妊薬などがあります。

 偽膜性腸炎の原因は、抗生剤(とくにセフェム系やリンコマイシン系)の服用により腸内細菌叢(そう)の菌交代現象(腸内細菌バランスの乱れ)が起こり、ディフィシル菌が異常増殖し、それがつくる毒素が大腸粘膜の循環障害を引き起こすとされています。

 また、出血性腸炎のメカニズムはいまだに解明されていませんが、ペニシリン系抗生剤が何らかのアレルギー反応を引き起こし、大腸の血流を障害してびらんを引き起こし、出血を起こすとされています。

症状の現れ方

 偽膜性腸炎は、基礎疾患のある高齢者に多くみられ、抗生剤投与5~10日後に発生する水のような下痢が主な症状です。その他の症状としては腹鳴(ふくめい)、下腹の鈍痛、腹部膨満感(ぼうまんかん)、中等度の発熱も伴いますが、血便は比較的少ないとされています。

 出血性腸炎は比較的健康な若年者に多い疾患で、かぜなどの治療のためにペニシリン系抗生剤を投与した3~4日後に、突然の激しい腹痛と新鮮な血性下痢(トマトジュースのような便)がみられます。

検査と診断

 抗生剤投与後に下痢がみられたら、まず本疾患を疑い、偽膜性腸炎では便中のディフィシル菌毒素の検出や便の培養検査を行います。大腸内視鏡検査では、直腸下端からS状結腸にかけての大腸粘膜に特徴的な黄白色調の半球状に隆起した偽膜がみられ、ひどい場合には全大腸に及ぶこともあります。

 出血性大腸炎の大腸内視鏡所見としては、主に深部大腸(横行結腸が好発部位)にびまん性の粘膜の発赤と出血がみられ、潰瘍がみられることもあります。

治療の方法

 抗生剤などの薬剤によって引き起こされる病気なので、原因薬剤の中止が治療の基本です。偽膜性腸炎ではディフィシル菌に著しい効果を示すバンコマイシンやメトロニダゾールなどが使われます。出血性腸炎では抗生剤の中止と対症療法だけで急速に症状が改善します。

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