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食道・胃・腸・肛門の病気:胃・十二指腸の病気

空気嚥下症

くうきえんげしょう、Aerophagia

千葉 勉、伊藤 俊之

どんな病気か

 空気嚥下症は、多くは精神的な要因によって、唾液とともに空気を飲み込む量が増え、げっぷや腹部膨満感(ぼうまんかん)が現れるようになった状態です。頻度は多くありませんが、治療は難しいことがあります。「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれることもあります。

 また、さらに空気嚥下症に加えて、噛(か)みしめ動作による緊張が首や肩にも波及し、肩こり、側頭部痛、頭痛、あごや目の痛みをもたらすことがあり、これを「噛みしめ呑気症候群」と呼びます。

原因は何か

 正常な人でも食事の際に食べ物といっしょに多少の空気を飲み込みますが、空気嚥下症の場合には食べ物の摂取とは無関係に無意識に大量の空気を嚥下してしまいます。精神的に不安定な状態(抑うつ、神経症、ヒステリーなど)の時に起こりやすくなります。そのほかには、呼吸不全、心不全などを起こした時に現れることもあります。原因については、他の機能性疾患に比べて明らかにされているとはいいにくいのが現状です。

症状の現れ方

 異常に多量の空気を頻回に嚥下してしまうことによって、げっぷや腹部の膨満(ぼうまん)などの症状を起こします。上腹部の不快感を紛らわすために空気の嚥下を繰り返すことが多く、食道や胃に飲み込んだ空気を頻回にげっぷとして吐き出す習慣があります。げっぷをしても、必ずしも腹部の膨満が軽減するわけではありません。

検査と診断

 まず、腹部X線、胃X線造影あるいは内視鏡、腹部超音波、腹部CTなどの検査で器質的な疾患がないことを確認します。加えて、臨床症状だけではなく症状の増悪・軽減因子にも注目して最終的に診断します。最近、診断基準が改訂されました(表1)。

治療の方法

 原因が明らかになっていないため、特有の治療法はありません。病状の理解、空気を嚥下する習慣や食生活の改善、不安や緊張の緩和などが重要です。食事はゆっくりとよく噛んで食べるようにしてください。また、アルコール、炭酸飲料、甘いもの、脂の多いもの、香辛料などは避けます。

 薬物療法としては、比較的症状の軽い場合には消泡薬、消化酵素薬、消化管機能改善薬などを、重い症状の場合には抗うつ薬や抗不安薬(こうふあんやく)などの向精神薬(こうせいしんやく)の服用が必要になってきます(表2)。

 なお、噛みしめ呑気症候群では、マウスピースの装着によって症状が改善する場合があります。

病気に気づいたらどうする

 同様の症状が食道や胃腸の病気でも起こることがあるので、まず消化器専門医の診察を受けることが重要です。食道や胃に器質的疾患がないことが判明したら、まず心配はありません。どうしても気になる場合は、心療内科や精神科専門医による治療を受けるとよいでしょう。

 噛みしめ呑気症候群については、歯科(口腔外科)医に相談するとよいでしょう。

表1 空気嚥下症の診断基準(RomeⅢ)
表2 空気嚥下症の治療薬

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