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眼の病気:網膜の病気

中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)

ちゅうしんせいもうまくしょう(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)、Central serous retinopathy (Central serous choroidopathy)

河野 眞一郎

どんな病気か

 網膜の後ろにある脈絡膜(ほとんど血管からできている組織)から血漿(けっしょう)がもれ出して網膜の下にたまり、網膜がドーム状に剥離(はくり)する病気です(図49)。眼底の中心に水ぶくれができた状態といえばわかりやすいでしょう。

原因は何か

 本当の原因はよくわかっていませんが、どんな人に起こりやすいかはわかっています。20~40代の働き盛り、男性、正視ないし軽い屈折異常の人(要するに眼のいい人)に起こりやすいことが知られています。忙しい人や忙しい時に起こる傾向がみられるため、ストレスが誘因になるともいわれています。

症状の現れ方

 視野の真ん中が何となく見えにくい、黄色く見える、物が小さく見える、ゆがんで見えるなどが現れます。治ったあとも、何となく見えにくいという症状がしばらく続くことが多いようです。治癒と再発を繰り返したり、何年かして再発することもめずらしくありません。

検査と診断

 眼底検査でおおよそ診断がつきますが、はっきりさせるには蛍光(けいこう)眼底検査が必要です。どこからもれているのかが明瞭にわかります。新生血管黄斑症(しんせいけっかんおうはんしょう)とまぎらわしいことも多く、区別するためにもこの検査が重要です。

治療の方法

 この病気は、元々そんなに性質が悪いわけではなく、たいていは2~3カ月で自然に治る傾向があります。そのため、しばらくの間は経過観察をするのが基本です。循環改善薬、ビタミン剤などの内服で経過をみることもあります。

 なかなか治らなかったり、早く治したいという場合にはレーザー網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)(コラム)を行います。しかし、水もれの部位が中心に近すぎるとレーザー光凝固はできません。

病気に気づいたらどうする

 前述したような症状に気づいたら、とりあえずは眼科を受診してください。本当に中心性網膜症であるなら、それほど心配はいりませんが、もっと性質の悪い病気で似たような症状が出るものもあるので(たとえば新生血管黄斑症)、きちんと診断を受ける必要があります。

図49 中心性網膜症の模式図
網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)の原理と適応

 網膜光凝固術は眼科医がもつ最も強力な治療手段のひとつで、眼科の臨床では広く応用されています。網膜光凝固が広く普及したのは、光源としてレーザー光が実用化されたことが大きな理由です。レーザー光は波長がよく揃っているという特性があり、正確で効率のよい光凝固ができるようになりました。機器も年々改良され、格段に扱いやすくなっています。

 網膜光凝固の原理は、照射された光が吸収されると熱が発生し、組織の熱凝固が生じるというものです。簡単にいえばやけどを作り、それが瘢痕(はんこん)化することでさまざまな治療効果を期待するということです。光を吸収するのは、通常、網膜の外側にある網膜色素上皮ですが(図45)、血管や赤血球を標的にすることもあります。治療効果には、網膜新生血管の予防と退縮、網膜出血・浮腫(ふしゅ)の吸収促進、水もれを塞ぐ、網膜と網膜色素上皮・脈絡膜(みゃくらくまく)の癒着(ゆちゃく)を増強、脈絡膜新生血管の退縮などがあります。

 網膜光凝固が行われるのは糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)、網膜静脈閉塞症(へいそくしょう)、中心性漿液性脈絡網膜症(しょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)、加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)、網膜裂孔(れっこう)、網膜剥離(はくり)、未熟児網膜症、コーツ病、網膜血管腫(けっかんしゅ)など実に多種多様です。

 なかでも糖尿病網膜症が最も多く、網膜新生血管(増殖網膜症)の予防・治療、網膜浮腫(黄斑症)の吸収促進と2通りの目的があります。網膜新生血管の予防・治療を目的とするのは他に網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症などがあります。網膜浮腫・出血の吸収は網膜静脈閉塞症、コーツ病、網膜血管腫などでも目的になります。中心性漿液性脈絡網膜症では水もれ部分をピンポイントで凝固します。網膜裂孔、網膜剥離に対する光凝固は網膜の癒着促進が目的です。加齢黄斑変性症では脈絡膜新生血管の退縮が目的で、新生血管を直接凝固します。

河野眞一郎

図45 レーザー網膜光凝固術の原理

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