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眼の病気:角膜と強膜の病気

水疱性角膜症

すいほうせいかくまくしょう、Bullous keratopathy

井上 幸次

どんな病気か

 角膜が水ばれして光が通りにくくなるとともに、角膜表面(上皮)にも水がたまって水疱ができる病気です(図25)。

原因は何か

 角膜の内側に並んでいる内皮細胞の数が減って、角膜に入ってくる眼内の水(房水(ぼうすい))を眼内へもどすポンプのはたらきが低下するのが原因です。角膜の内皮細胞は、生まれてから死ぬまで増えることはないので、遺伝的に内皮細胞が弱かったり(フックス角膜内皮ジストロフィなど)、外的な原因で内皮細胞が障害されたり(外傷、角膜感染、白内障(はくないしょう)手術、緑内障(りょくないしょう)に対するレーザー治療など)した結果生じます。

症状の現れ方

 視力が低下するのはもちろんですが、表面の水疱のために、眼の痛みも伴ってきます。原因によって、両眼性であったり片眼性であったりします。

検査と診断

 角膜内皮細胞はそのまま拡大写真が撮影でき、細胞の密度を算定することができます。それによって内皮細胞が少なく、水疱性角膜症になりやすいかどうかを判定します。ただ、水疱性角膜症になってしまうと内皮細胞は撮影できなくなります。

治療の方法

 非常に初期には、濃度の濃い生理食塩水の点眼や眼軟膏(がんなんこう)で角膜中の水分を吸い取ることによって、少し視力がよくなりますが、根本的な治療としては、どうしても角膜移植が必要になります。最近は角膜の内皮側だけを入れかえる方法も行われるようになっています。

関連項目

 角膜の構造と透明な理由(コラム)、角膜ジストロフィ

図25 水疱性角膜症
角膜の構造と透明な理由

 角膜は、黒目の表面の厚さ0.5㎜の透明なドーム状の膜ですが、視覚器官である眼に光が入る入口のところにあり、水晶体とともに眼のレンズの役割をしています(図17)。したがって、角膜がにごったり、ゆがんだりすると視力が非常に障害されます。また、角膜には豊富に神経が分布しているので、角膜に傷がつくと痛みが生じます。

 角膜は3層構造をしており、表面をおおう上皮と内側をおおう内皮との間に角膜の大部分を占める実質があります。実質は、コラーゲンの線維とその間を埋める基質としてのグルコサミノグリカン(糖の一種)からなっていますが、その8割弱は水分でスポンジが水を含んだような感じになっています。

 角膜がなぜ透明なのか、その詳しいメカニズムはわかっていませんが、コラーゲンの線維がある一定の間隔をもって規則正しく配列していることが、透明であることのキーであると考えられています(モーリスの格子説)。そのため、角膜実質中の水分が増加して角膜が膨潤(ぼうじゅん)し、このコラーゲンの配列が乱れると、たちまち角膜は透明でなくなってしまいます。

 角膜のもうひとつの大きな特徴として、正常な角膜には血管がないということがあげられます。血管がないのにどうやって栄養分を受けとっているか不思議なところですが、角膜表面の涙と、角膜の周囲の白目の表面をおおっている結膜の血管と、角膜の奥にある眼内の前房(ぜんぼう)というところにたまっている房水(ぼうすい)の三者によって栄養分をもらっているのです。

井上幸次

図17 角膜と涙液の構造

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