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眼の病気:角膜と強膜の病気

アカントアメーバ角膜炎

アカントアメーバかくまくえん、Acanthamoeba keratitis

井上 幸次

どんな病気か

 アメーバの一種であるアカントアメーバが角膜に感染して起こる病気で、まれですが、角膜の感染症のなかでは最重症です。

原因は何か

 アカントアメーバは通常なかなか感染を起こしませんが、多くはアメーバで汚染されたコンタクトレンズを使用することによって生じます。

症状の現れ方

 非常にゆっくりと進行しますが、他の感染に比べて眼の痛みが非常に強いのが特徴で、涙もかなり出ます。また、白目の充血も非常に強くなります。視力の低下は初期は軽度ですが、徐々に見にくくなり、進行すると重度の視力障害となります。

検査と診断

 角膜の悪くなっている部分をこすり取って、アカントアメーバを検出しますが、特殊な病原体であり、また、めずらしい病気であるだけに、大きな総合病院でも検査が困難なことが多い点が問題になっています。

治療の方法

 アメーバに対する特効薬がないため、抗真菌薬を使用しますが、それに加えて感染した角膜表面を何度も削る治療を併用する必要があります。

 根治には何カ月もかかることがまれではありません。

病気に気づいたらどうする

 アメーバは非常に感染しにくい病原体であり、正しくコンタクトレンズを使用している場合に感染することはあまりありません。しかし、いったん感染すると、診断・治療は困難を極めます。この病気はそうならないように予防すべき病気といえます。

関連項目

 細菌性角膜炎角膜真菌症コンタクトレンズと眼感染(コラム)

コンタクトレンズと眼感染(がんかんせん)(装用に伴う角膜感染とその対策)

 昔は、角膜の感染症は異物飛入(いぶつひにゅう)によるものがほとんどでしたが、最近はコンタクトレンズに伴う感染が増加しています。そのため、昔は角膜感染症(かくまくかんせんしょう)を起こす年齢のピークは50~60代であったのですが、最近ではそのピークが10~20代に変化してきています。

 コンタクトレンズを使用している人は、酸素不足やドライアイやコンタクトレンズによる機械的刺激の影響で、角膜の表面に小さい傷ができる(点状表層角膜症(てんじょうひょうそうかくまくしょう))ことが多く、現に常時小さい傷が認められる人も決してまれではありません。そして、そこへコンタクトレンズに付着した微生物がもち込まれれば、何らかのきっかけで感染を起こしてもおかしくないといえます。

 感染を起こす事例の多くは、眼が痛くても無理に使用したり、保存液として古い汚れたものや保存液以外のものを使用したり、使い捨てのレンズを使い捨てずに再使用するなどといった誤った使用方法が原因となっています。感染を起こした人のコンタクトレンズ保存液をみせてもらうと肉眼でみても汚れているのがわかる人さえいます。また、アカントアメーバは水道水のなかにもいますので、コンタクトレンズを水道水で洗ったり、水道水を保存液代わりに使用していると容易にコンタクトレンズがアメーバで汚染されます。

 さらに最近では、ある程度正しくコンタクトレンズを使用している場合でも、感染を起こすケースがあることが問題となっています。昔はコンタクトレンズを消毒するために煮沸をしていたのですが、コンタクトレンズをより使いやすくするために、最近は洗浄・保存・消毒・すすぎがひとつの溶液でできるmulti-purpose solution(MPS)というものが開発され、これで消毒を行うことが一般的になっています。ところがこのMPSによる消毒は煮沸ほど完璧なものではなく、たとえばコンタクトレンズにこびりついた細菌は溶液につけておくだけでは殺すことができません。あくまでもしっかりと擦(こす)り洗いをすることが前提になっています。また、アカントアメーバに対する効果はかなり低く、明らかな誤使用がなくても感染する可能性があります。

 少なくともきめられた使用方法はしっかり守り、コンタクトレンズを扱う時はしっかりと手を洗い、擦り洗いを十分に行う必要があります。保存ケースの定期交換も非常に重要です。コンタクトレンズを使用している人は、コンタクトレンズ自体が眼にとってはそもそも異物であり、それを眼の表面に長い時間接触させるにあたっては、十分な注意が必要であることを、よく自覚しておくことが重要です。

井上幸次

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