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家庭の医学

運動器系の病気(外傷を含む):骨軟部腫瘍

血管腫

けっかんしゅ、Hemangioma

森井 健司

どんな病気か

 顕微鏡で調べてみると、血管に似ている異常な形態の細胞が増殖していることが観察される良性の病気をまとめて、血管腫といいます。

 「血管腫」という言葉は、非常に広い範囲の病態を含んでいます。たとえば、皮膚を中心に発生するもの(イチゴ状血管腫、サクランボ色血管腫など)、筋肉のなかに発生するもの(筋肉内血管腫)、肝臓に発生するもの(肝血管腫)など、発生する場所だけでも多くの種類があり、それぞれ多彩な症状を示します。

 ここでは、整形外科で扱う機会が多い、筋肉のなかなど皮膚より深い部分に発生する血管腫についてのみ、述べます。皮膚や肝臓に発生する血管腫に関しては、それぞれ関連領域の解説を参考にしてください。

 筋肉内の血管腫は、軟部腫瘍のなかでは比較的よくみられる病気です。90%以上が思春期から若年層の成人に見つかります。発生率に男女差はないようです。できやすい場所はふとももなどの下肢で、ついで首のまわりや頭などの頭頸部、上肢、体幹部(胸や腹部など体の中心部の軟部組織)などです。

原因は何か

 現在でもいくつかの学説が提唱されていますが、腫瘍(新生物)というよりは正常の組織が何らかの理由で異常に増殖した状態(過(か)形成)、あるいは顕微鏡レベルでの血管の奇形と考えられることが多いようです。

症状の現れ方

 多くは、比較的軟らかく、ゆっくりと成長する瘤(こぶ)として触れることで病気が見つかります。痛みを伴うことがあるので原因不明の痛みが手足に出てMRIなどの精密検査を行った結果、この病気が見つかることもあります。

検査と診断

 X線検査ではこぶの内部にある石灰が写ることがあります。MRIなどによって詳しい画像検査を行うと、霜降り状の瘤が写ります(図54‐(a))。

 以上の臨床的な情報と画像的情報から、ある程度、血管腫であると推測することができますが、厳密な確定診断(病名を決定すること)には、できものの一部を体から取り出して顕微鏡で見ることが必要です。

治療の方法

 比較的小さなものは経過観察を行うことだけで十分です。サイズが大きい場合などは、悪性腫瘍との鑑別が大切であり、全部取り切らないまでも瘤の一部を切り取って顕微鏡で調べることがあります。

 ひとたび血管腫という確定診断がついた場合でも、痛みなどの症状がない場合は経過をみるだけでよいことが大半です。痛みがある場合、まず鎮痛薬で痛みを和らげることを試みます。

 患者さんの日常生活の邪魔になるなどの場合、切除を考えます。血管腫は血管のかたまりで(図54‐(b))、手術での出血が時に大変多くなり、患者さんが術後貧血になることがあるため、手術適応は慎重に行います。

病気に気づいたらどうする

 まず、近所の整形外科医に相談してみてください。体に発生した瘤は、通常の診察だけでは病名の決定ができません。肉腫など悪性疾患との区別が必要と判断されれば、前述したように実際に組織を採取して顕微鏡で確認する必要があります。この場合、整形外科分野の腫瘍を専門とする医師のいる施設(地域のがんセンターや大学病院)に紹介してもらいましょう。

関連項目

 血管肉腫

図54 筋肉内血管腫

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