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運動器系の病気(外傷を含む):スポーツ外傷・障害

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎

アキレスけんえん・アキレスけんしゅういえん、Achilles tendinitis, Achilles peritendinitis

田中 康仁

どんな病気か

 アキレス腱炎は使いすぎによるオーバーユース症候群のひとつで、スポーツ障害としては頻度の高いものです。繰り返しのストレスによりアキレス腱に微細な部分断裂や瘢痕化(はんこんか)(きずあと)が生じており、腱の変性が認められます。

 アキレス腱はパラテノンという薄い膜でおおわれていますが、この部分に炎症を生じた場合をアキレス腱周囲炎といいます。

 この両者は同時に発症していることも多く、厳密に区別することは難しいこともあります。アキレス腱付着部に生じるアキレス腱滑液包炎(けんかつえきほうえん)という病気もありますが、両者とは別の病態です。

原因は何か

 加齢変化のひとつである腱の変性がベースにあるため、中年以上の市民ランナーやウォーキングをしている人に多く発症します。使いすぎが原因しているために、運動量と発症には密接な関係があり、不適切なトレーニング方法が原因していることもあります。また、靴の不適合や扁平足(へんぺいそく)などの足部変形も原因のひとつになります。

症状の現れ方

 かかとへの付着部から上方2~6㎝部分のアキレス腱が腫脹(しゅちょう)し、押さえると痛みが増強します。運動したあとや朝起きた時の歩き始めに痛みが強く、症状が進行すれば安静にしていても痛いことがあります。足関節を背屈(はいくつ)することで疼痛(とうつう)が増強します。

 進行すれば足関節の動きが悪くなり、アキレス腱周囲炎では足関節を動かすとアキレス腱にきしむような摩擦音が聞こえることがあります。

検査と診断

 X線検査でははっきりと診断がつかないことも多いですが、まれに石灰沈着している場合などにはわかることがあります。

 MRIをとると腱がふくらんでいるのがよくわかり、変性の程度などの詳細な診断が可能です。また、超音波検査も簡便で有効な方法です。

治療の方法

 保存治療が原則で、痛みが強い時には運動を控えて局所を安静に保ちます。湿布や一時的な消炎鎮痛薬の内服も有効です。

 少しヒールのある靴を履いてかかとを上げると、アキレス腱の緊張が軽減され疼痛が改善します。また、扁平足などの足部変形がある場合には、足底挿板(そくていそうばん)を処方することによりアキレス腱への負荷が軽くなります。

 スポーツ選手への局所注射は、腱の変性や断裂を生じる場合があり、慎重を要します。慢性期で再発を繰り返す場合には、手術的にアキレス腱を再建する方法がありますが、適応になるのはごくまれです。

 症状の改善が認められれば徐々にスポーツを始め、運動前のストレッチングや運動後のアイシングを励行するようにします。

病気に気づいたらどうする

 基本的には使いすぎによる障害ですので、運動量をひかえて局所の安静を保って腱が修復されるのを待ちます。

 アキレス腱に負担のかかりにくい競技種目に、一時的にでも変えてみるのもひとつの方法です。

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