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脳・神経・筋の病気:脊髄・末梢神経・筋の病気

アミロイドニューロパチー

アミロイドニューロパチー、Amyloid neuropathy

齋藤 豊和

どんな病気か

 アミロイドとは、絹のような構造をもつ特異な蛋白質で、体のいろいろな臓器や組織に沈着することにより臓器の障害を起こします(図28)。全身にアミロイドが沈着するもの(全身性アミロイドーシス)と局所に沈着するもの(限局性アミロイドーシス)があり、とくに全身性のタイプでは骨髄腫(こつずいしゅ)に伴ったり、腎透析(とうせき)に伴ったりするものがあります。

 最も重要なものは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)です。世界的に注目されている神経難病のひとつで、日本でも治療費は公費負担になっています。

 FAPの病型は4つに分類されていますが、日本ではⅠ型が圧倒的に多く、このⅠ型はポルトガル人、日本人(長野県と熊本県に大家系が存在している)、スウェーデン人に多くみられるタイプです。

症状の現れ方

 Ⅰ型は、下肢末端の自発性の感覚異常(針で刺すようなチクリとした痛み、乱切痛(らんせつつう))で発症し、次第に温痛覚(表在感覚)が強く侵され、深部感覚(振動覚、位置覚)は侵されない(感覚解離(かいり))のが特徴です。時に、胃腸症状(便秘・下痢)が先行し、男性は陰萎(いんい)(インポテンツ)が起こり、次第に激しい自律神経障害(起立性低血圧、大小便失禁など)が出現してきます。

 筋萎縮(いしゅく)が手足に現れると、運動障害のために歩行困難、四肢末端の皮膚栄養障害、難治性潰瘍を伴い、約10年前後で重症感染症、心不全、尿毒症(にょうどくしょう)などで死亡するのが一般的です。

 最近の疫学調査では、高齢発症のFAPの存在が注目され、心不全、運動障害が前面に出て、自律神経障害が軽度であることが指摘されています。

検査と診断

 沈着するアミロイド蛋白は、アミノ酸分析で検出される異型トランスサイレチン(TTR)という物質と関連しています。このTTRの点変異(DNAの1塩基の欠失、置換、挿入のこと)の存在を検出することで、早期診断が可能となっています。

治療の方法

 発症様式や沈着の機序(仕組み)はまだ不明で、アミロイドが溶けにくいなどの理由もあり、治療法の開発はいまだに困難になっています。肝臓で生成される異型TTRを止めるためにFAPの患者さんに対する肝移植療法が行われ、効果をあげています。

図28 アミロイドの沈着

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