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家庭の医学

呼吸器の病気:肺の病気/閉塞性肺疾患

禁煙指導(治療)

きんえんしどう(ちりょう)、Smoking cessation guidance (treatment)

原 宏紀

 国は生活習慣病に対する対策として、2000年から「21世紀における国民健康作り運動(健康日本21)」を始めました。禁煙はその課題のひとつで、①未成年の喫煙防止、②受動喫煙の防止(環境作り)、③禁煙支援、を大きな柱としています。喫煙がやめられないのは単なる嗜好や習慣によるものではなく、「ニコチン依存症」という疾患ととらえ、2006年から禁煙治療は保険適用となり、施設基準を満たした医療機関では健康保険の利用により自己負担費用が少なくなりました。

禁煙の準備

 ①まず、禁煙の決心をします。

 ②禁煙する理由をはっきりさせます。健康上の問題、たばこに要する費用の問題、周囲への配慮など、自分だけの禁煙理由を確認します。明確な動機付けはとても大切です。

 ③周囲の人に禁煙の決心を伝えます。まわりのサポートは大切です。

 ④禁煙開始日を決めます。仕事が忙しくなく、ストレスが少ない時期、何かの記念日などが成功しやすい禁煙開始日です。

 ⑤禁煙の方法を決めます。種々の禁煙補助薬があり、自分に適したものを選びますが、禁煙外来を受診し、医師と相談のうえ禁煙プログラムに沿った方法をとるのが近道です。「禁煙コンテスト」やインターネットでの禁煙サポートサイトの利用も役立ちます。

禁煙治療の流れ

 禁煙の外来治療では、まず「対象者のスクリーニング」を行います。保険適用の条件は、図32の条件1~4を満たすものです。

 条件2に対しては、ニコチン依存度をみるために表10のTDSを行い、合計5点以上が対象となります。条件3のブリンクマン指数とは「1日の喫煙本数×喫煙年数」で、200以上が条件です。これらの4条件をすべて満たす場合が保険適用の禁煙治療となり、該当しない場合は自由診療による禁煙治療となります。

標準禁煙治療プログラム

 標準的なプログラムは、12週間にわたり計5回の禁煙治療を行います。

 まず、初回診察で喫煙状況の確認、評価、ニコチン摂取量の客観的評価をし、禁煙方法、禁煙開始日を決定します。

 その後、2、4、8、12週間後に禁煙実行継続のための治療を行います。ここでは禁煙継続の確認、ニコチン離脱症状・副作用の有無、ニコチン摂取量の評価、アドバイスなどを行います。

禁煙補助薬

 禁煙補助薬を使うと、禁煙成功率が約2~3倍高まるだけでなく、離脱症状を抑えながら比較的楽に禁煙することができます。

 一般に使用される薬剤としては、たばこ以外からニコチンを補充するニコチン置換療法(ニコチンパッチ、ニコチンガム)と、脳に作用し喫煙による満足感が得られないようにするバレニクリン(内服薬)があります。これらの特徴と問題点(表11)を参考に治療法を決定します。

乗り切るコツ

 禁煙開始後2~3日をピークにニコチン離脱症状が一過性に出ます。たばこが吸いたくなったら代わりの行動をします。水を飲む、深呼吸をする、歯磨きをする、糖分の少ないガムを噛む、軽い運動をするなどです。

 朝の行動の順番を変えるなど、たばこと結びついた行動パターンを変えることも大切です。たばこ、灰皿などを捨て、たばこを吸いたくなる場所(喫煙コーナー、宴会、パチンコなど)を避け、禁煙しやすい環境をつくります。

図32 禁煙治療プログラムとスクリーニング
表10 ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS)
表11 禁煙補助薬の特徴と問題点

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