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循環器の病気:不整脈(脈の乱れる病気)

期外収縮

きがいしゅうしゅく、Premature beat

杉 薫

どんな病気か

 期外収縮は、もともとの調律(タイミング)で心拍が生じると予想される時期より早期に生じる電気的な興奮のことを指します。そのため、余分な心拍が現れます。心房(しんぼう)あるいは房室(ぼうしつ)接合部から生じる期外収縮を上室(じょうしつ)期外収縮といい、ヒス束(刺激を伝える筋線維)より下部の心室(しんしつ)から生じる期外収縮を心室期外収縮といいます。

 期外収縮自体は放っておいてもよい不整脈ですが、期外収縮が引き金になって頻拍(ひんぱく)が起こる場合や、期外収縮による自覚症状が強い場合には治療の対象になります。

原因は何か

 自律神経の異常によって起こることが多いようですが、原因がはっきりしないこともあります。病的な心臓だけでなく健常な人にも生じます。アルコールの飲みすぎ、睡眠不足、疲労、ストレスなどが誘因になります。

 生理学的には、大部分の期外収縮は自動能亢進(じどうのうこうしん)で生じ、僧帽弁(そうぼうべん)や肺静脈などの発生組織によっては激発活動で生じると考えられています。また、場合によっては回帰収縮(かいきしゅうしゅく)(リエントリー)で生じることもあります。

症状の現れ方

 期外収縮の症状はさまざまで、患者さんの感受性によって強弱も違います。どきっとする、くーとする、もやもやするなどと表現されます。そのような症状を自覚する時に脈をみると、脈が抜けていることで期外収縮と判断されることが多いようです。上室期外収縮と心室期外収縮とでは、自覚症状の差はありません。

 自覚症状の強弱は、先行する心拍のあと、どのくらいの時間(連結期)で期外収縮が現れるかによって左右されます。

 次の正常心拍が現れる時期に近いタイミングで、長い連結期をもって期外収縮が現れる時には、前後の心拍の出現時間に著しい差はないために、期外収縮はほとんど自覚されません。逆に先行心拍に近く、短い連結期で生じる期外収縮は、起源がどこであっても、強く症状を感じます。

 敏感な人では1発の期外収縮を的確に自覚します。しかし、一般に期外収縮の出現数が1日に2万発、3万発あるような人は期外収縮による症状を自覚しないことが多く、むしろ1日数百発から数千発出現する場合に症状を強く自覚します。健常な人でも自分の年齢数くらいは期外収縮が現れてもおかしくありません。

検査と診断

 正確な診断は心電図で行います。上室期外収縮は、洞調律あるいは基本調律のQRS波とほぼ同一のQRS波が早期に現れます。よくみると先行T波の前後に異所性P波が見つかります。心室期外収縮は、洞調律の時とはまったく違うQRS波形を示し、先行するP波がなく、洞調律(どうちょうりつ)の周期より早期に現れます。

 検査は期外収縮の出現頻度と出現形態をみるために、ホルター心電図を行います。患者さんの年齢数くらいの出現は生理的な範囲と考えられます。1日3千発未満を散発性(さんぱつせい)期外収縮、3千発以上を頻発性(ひんぱつせい)期外収縮としています。

 運動によって増えるか、あるいは減るかを検討するために、トレッドミル運動負荷試験を行います。トレッドミルの代わりにマスター2階段負荷試験でも十分検討できます。

 運動をすると期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻拍や持続性の頻拍が生じる可能性があるので、運動はひかえるようにします。逆に、運動によって期外収縮がなくなる場合には、運動制限をする必要はありません。

治療の方法

 単発の期外収縮自体を治療する必要はありませんが、症状が強い時にはまず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には抗不整脈薬を使うことになります。

 一般には、自動能亢進で期外収縮が起こりやすいので、自動能を抑えるナトリウムチャネル遮断薬を投与します。心室期外収縮の場合は、どの抗不整脈薬でも使えますが、上室期外収縮の場合は、非活性化ナトリウムチャネル遮断薬のリドカインとメキシレチンは効果がありません。

 期外収縮自体の予後は良好です。しかし、期外収縮が引き金になって致死的な頻拍が生じることがあります。このような場合の期外収縮は治療が必要です。高周波カテーテル・アブレーション(コラム)で期外収縮の起源を焼灼(しょうしゃく)することがあります。

病気に気づいたらどうする

 期外収縮自体は良性の不整脈であり、誰にでも起こります。ですから期外収縮を指摘されただけならば、日常生活に制限はありません。ただし症状が強かったり、頻拍の引き金になる場合には治療が必要なので、循環器内科を受診してください。

 期外収縮は他の不整脈と同様に、お酒の飲みすぎ、睡眠不足、疲労、ストレスによって悪くなるので、これらのリスクを避けるように心がけてください。

カテーテル・アブレーション

 血管から心臓の各部位へ細い管(カテーテル)を到達させ、カテーテルの先端からエネルギー源を出して組織を壊死(えし)させる治療法をカテーテル・アブレーションといいます。

 1982年に発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)と心房粗細動(しんぼうそさいどう)を対象に、心腔内に直流の電気を流す房室接合部のカテーテル・アブレーションが報告されました。

 この方法では、房室ブロックを作成して、心房レベルでは頻拍でも心室興奮はベースメーカーによって制御されるために、頻拍による症状は改善されましたが、頻拍そのものは根治しませんでした。さらに87年には、直流ではなく高周波通電による実験と臨床応用が行われるようになりました。同時期にWPW症候群の副伝導路に直接通電するようになり、ピンポイント治療で頻拍が根治できるようになりました。

 1990年には、米国で高周波を流すカテーテル・アブレーションが多くの施設に普及しました。この時期、日本では臨床的にはまだ直流通電によるアブレーションが中心でしたが、高周波カテーテル・アブレーションの実験と一部の臨床応用が始まりかけていました。91年に電極カテーテルの改善が行われ、先端に4㎜長という大きな電極をもつラージチップカテーテルが現れ、根治率が上がりました。92年には日本でも高周波カテーテル・アブレーションが普及し始め、97年ころから3次元マップCARTOが登場し、頻拍の興奮回路を詳しく突きとめることが可能になりました。

 アブレーションに用いられるエネルギー源としては、直流通電と高周波のほかにマイクロウエーブやレーザーなども実験的に用いられましたが、臨床的には普及していません。

 また、冠動脈内にエーテルなどの化学物質を注入して冠動脈灌流(かんりゅう)領域を壊死(えし)させる方法、つまり小範囲に心筋梗塞(しんきんこうそく)を起こして、不整脈をなくす化学的アブレーションも過去に行われました。

 しかし、標的とする領域が限られることや、催不整脈作用や血行動態への影響などもあり、不整脈の根治を目的とする化学的アブレーションは行われなくなりました。現在は肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)に対して中隔部を壊死させて血行を改善する目的で行われています。

 現在行われている不整脈治療のためのカテーテル・アブレーションは、すべて高周波によるものです。

杉 薫

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