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うつなど、心の病気:小児期・青年期に発症する行動・情緒障害

分離不安障害

ぶんりふあんしょうがい、Separation anxiety disorder

根岸 敬矩

どんな病気か

 人は生まれた時から自立した存在ではありません。一般に、母親(またはそれに代わる人)に依存した存在から始まり、乳幼児期から学童期、思春期の成長・発達という段階をへて、やがて母親などの依存対象から分離・自立して大人になります。

 とくに、乳児期から学童期にかけて、母親などの依存対象者との物理的・心理的分離に伴う不安が現れやすくなります。これを分離不安といい、どのようにこれを克服していくかが、この時期の心の発達課題とさえいわれています。

 この克服が年齢相応になされていないと、母親(依存対象者)などが不在の時に過剰な分離不安反応を起こし、いろいろな身体的・精神的な症状を示すことになります。このような病的な状態を、分離不安障害といいます。

症状の特徴と診断

 この障害が比較的多くみられる幼児期から学童期前半には、分離に伴う不安を直接表現することは少なく、身体症状や問題行動として、間接的な表現をとることが多いようです。

 たとえば身体症状は、頭痛、腹痛、吐き気などの自律神経系のものが多く、問題行動は執拗な甘え(時には赤ちゃんがえり)、夜尿、遺尿(いにょう)(日中目を覚ましている時などに無意識に小便をもらすこと)、多動や乱暴行為などがみられます。

 学童期後半以降は少なくなりますが、時には抑うつ、怒り、無気力などの精神症状が表出して、不登校などの要因になることもあります。

 一般に、発症原因が比較的わかりやすく診断は容易です。表14に子どもの精神科などで用いられている、分離不安障害の診断基準を紹介しておきます。

治療と対応

 一般に、親たちが子どもの不安を理解して、温かく受けとめる対応を根気よく続けるうちに、これらの症状は消失していくことが少なくありません。

 実際の臨床場面での治療には、年少児には遊戯(ゆうぎ)療法、年長児には認知行動療法などの精神療法が適用されることが多いようです。必要に応じて、親へのカウンセリングや家族療法なども並行して行われます。さらに、不安が強く症状の重い場合には、抗不安薬などの薬物療法が併用してなされることもあります。

 もともと、分離不安の問題は親子関係の相互作用で形成されるものなので、親の心の安定を確保し、家族内の人間関係の調整を図ることが対応のポイントになります。

表14 分離不安障害の診断基準

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