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家庭の医学

うつなど、心の病気:神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害

解離性障害

かいりせいしょうがい、Dissociative disorders

金 吉晴

どんな病気か

 強い葛藤に直面して圧倒されたり、それを認めることが困難な場合に、その体験に関する意識の統合が失われ、知覚や記憶、自分が誰であり、どこにいるのかという認識などが意識から切り離されてしまう障害です。解離性健忘(かいりせいけんぼう)、解離性遁走(とんそう)、解離性同一性障害、離人症性(りじんしょうせい)障害などの形をとり、また、身体症状に転換されて表現されることもあります。かつては女性に多いと思われていたので、子宮を意味するヒステリーと呼ばれたこともありましたが、今ではこの言葉は使われていません。

 それぞれについて解説していきます。

 ●解離性健忘

 外傷的な出来事の強い衝撃のために、それに関する記憶の想起が不可能になった状態であり、通常の物忘れよりもその範囲は広範です。

 ●解離性遁走

 予期していない時に突然、家庭や職場などの日常的な場所を離れて放浪し、本人にその間の記憶がないものをいいます。飲酒や身体疾患による意識障害、認知症などでは説明できないものを指します。

 放浪は、時に数百キロを越えることもあり、遁走の間は、自分が誰であるかわからず、遁走の以前はもとより、その最中に起こった出来事の記憶も失われていることがあります。

 ●解離性同一性障害

 いわゆる多重人格(たじゅうじんかく)と呼ばれる状態です。2つ以上のはっきりと区別される人格が一人のなかに存在し、それぞれの人格ごとに独立した行動をします。

 通常、主人格(もともとの人格)はそれ以外の人格による言動を直接には知りませんが、主人格の言動は他の人格に知られています。主人格の側から見れば、自分の言動に記憶の空白が生じることになるのです。

 学者によっては多重人格の存在を認めず、医師によって誇張された人工的な現象だと考える人もいます。

 離人症性障害

 自分の意識が自分自身から離れ、遠ざかっていると感じる状態が慢性的に続くものです。自分がまるで夢のなかにいるように思い、現実の出来事に現実感がなく、映画の画面を見ているように感じられます。自分が今、ここにいるという意識がなくなり、自分の体も自分のものではないかのように感じられます。

 同じような状態は、入眠時、疲労時などには健常者にもみられることがあります。また、うつ病統合失調症(とうごうしっちょうしょう)などの多くの精神疾患の部分症状として現れるので、こうした疾患の診断がなされている場合は、あえて離人症性障害という診断はつけません。

 ●身体症状への転換

 このように、葛藤についての意識を自分自身から切り離したとしても、葛藤そのものがなくなるわけではなく、また意識から切り離しがうまくいかない時などには、その苦悩が体の痛みや機能障害に転換されることもあります。この場合に生じる身体症状は重いことが多く、明らかに医療が必要であると思われたり、周囲の人間の関心を呼びます。

 本当に体の病気や外傷が合併していることもありますが、そうした傷病の一般的な訴えよりも、解離性障害の患者さんの訴えのほうがはるかに強かったり、通常とは違う訴えがみられます。

 患者さんは意図的にうそをついているのではありませんが、時には、こうした症状によって葛藤から逃避したり、周囲の人間から援助を引き出すことによって利益を得ていると思われることもあります。

治療の方法

 安全感、安心感を与え、心理的に保護することが必要です。また、本人の精神的な健康を回復させるために、抗うつ薬や精神安定薬が有効なこともあります。専門家の助言を得ながら対応を工夫してください。

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