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家庭の医学

うつなど、心の病気:器質性精神障害

せん妄

せんもう、Delirium

鷲塚 伸介

どんな障害か

 「入院したら母が急におかしなことをいうようになり、日にちもわからなくなった。環境が変わって認知症(にんちしょう)になったのかもしれない」というような経験のある人がいるかもしれません。

 このような場合、実は「せん妄」という一種の意識の障害が起きている可能性があります。せん妄は、軽度から中等度の意識障害が基底に存在しますが、その程度が著しく変化し、その際に不安が強まったり、あるいは錯覚(さっかく)や幻覚(げんかく)を伴い、異常な行動や言動、興奮などがみられる状態をいいます。

 せん妄があると、意識障害のために注意力や集中力が保たれず、時間や場所があやふやになり、認知症と間違えられてしまうことがあります。

 認知症と比べて、急激に発症するのがせん妄の特徴のひとつといえるでしょう。せん妄は夜間に悪化することが多く、夜に限ってせん妄が現れるときは「夜間せん妄」と呼びます。

原因は何か

 せん妄の原因はさまざまで、脳の病気ばかりでなく、全身性の多くの病気によっても現れる可能性があります。また、食事や水分の摂取が不十分な時や偏りが著しい時、あるいは服用している薬の影響によりせん妄になることもあります。入院や引っ越しといった心理的ストレスが、せん妄を起こしやすくする場合もあります。

 なお、認知症のお年寄りがせん妄を起こすことはありますが、せん妄が生じたからといって、その人が認知症というわけではありません。

治療の方法

 せん妄を起こしている原因となる病気の治療を行うとともに、多くの場合、抗精神病薬を使って対処します。

 夜間せん妄の場合は、昼間の刺激を多くして日中眠らないようにすることで、夜間の睡眠を確保するように試みますが、それだけでは対処できない場合もしばしばあるため、精神科を受診し相談してください。

 睡眠薬が有効なこともありますが、逆に夜間せん妄を悪化させることもあるので注意が必要です。

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