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子どもの病気:泌尿器と性器の病気

慢性腎臓病(CKD)

まんせいじんぞうびょう(CKD)、Chronic kindney disease (CKD)

池住 洋平

どんな病気か

 CKDは、蛋白尿(たんぱくにょう)や血尿(けつにょう)などの腎臓病の症状や腎機能が低下した状態が、3カ月以上持続するものと定義されています。腎機能に応じて、腎機能の低下がみられないステージⅠから、透析(とうせき)治療が必要な腎不全(じんふぜん)状態であるステージⅤに分類されます(表4)。

原因は何か

 小児のCKDは成人に比べて頻度が少なく、原因も大きく異なります。成人では糖尿病(とうにょうびょう)を原因とする糖尿病性腎症が最も多く、年々患者数も増えていますが、小児では慢性糸球体腎炎ネフローゼ症候群、尿管閉塞(へいそく)による水腎症(すいじんしょう)、腎低形成(じんていけいせい)、異形成(いけいせい)などの先天性疾患が原因となります。

症状の現れ方

 小児の慢性糸球体腎炎の多くは3歳児検診や学校検尿などで、何の症状もなく発見されます。この段階ではほとんどの場合はCKDの病期ステージはⅠで、腎機能の低下はみられません。かぜにかかった際に急性糸球体腎炎と同様の褐色(かっしょく)調の血尿、浮腫(ふしゅ)(むくみ)、高血圧などの症状がみられる場合があり、このような肉眼的血尿で発見される場合もあります。

 進行にしたがって蛋白尿が増加し、やがて腎機能が低下します。腎機能障害が進行すると、高血圧、浮腫、貧血(ひんけつ)さらに成長障害などの腎不全による諸症状がみられるようになります。

 また、紫斑病(しはんびょう)や膠原病(こうげんびょう)などの全身疾患に合併する慢性糸球体腎炎もあります(紫斑病性腎炎ループス腎炎など)。

 一方、先天性の異常は、出生前後に超音波検査で発見される場合や、乳幼児では体重が増加しない、多尿、尿路感染症を繰り返すことなどの症状から発見される場合があります。また、まれですが、学校検尿で尿所見の異常や腎機能障害が発見される場合もあります。

検査と診断

 急性糸球体腎炎と同様に、尿検査、血液検査を行います。小児の慢性糸球体腎炎の多くは、むくみなどの自覚症状がなく、尿検査で異常が見つかります。とくに血尿・蛋白尿ともにみられる場合は糸球体腎炎である可能性が高く、診断を確定するために腎生検(じんせいけん)(腎臓の一部を針で採取する検査)が必要になる場合があります。

 軽度の血尿のみがみられる場合は、定期的な尿検査を続けながら様子をみます。蛋白尿のみがみられる場合は、生理的な体位性蛋白尿(たいいせいたんぱくにょう)(コラム)である場合が多く、これは進行することがないため病気とは考えません。

 多量の蛋白尿が続く場合や徐々に増加する場合には、やはり何らかの腎疾患である場合が多く、腎生検を含めた詳しい検査が必要になります。

 また、慢性糸球体腎炎は血管炎(けっかんえん)や膠原病などの全身疾患に合併することもあり、症状からこれらの病気が考えられる場合は血液検査で鑑別(かんべつ)診断を行います。

 先天性の異常(水腎症や腎低形成、異形成など)は、尿検査で発見される場合が少なく、体重の増加不良や繰り返す尿路感染症の原因を調べる際に、発見されることがあります。超音波検査、CT検査や腎臓のシンチグラフィといった画像検査で診断を行います。

治療の方法

 小児では学校検尿で早期に病気が発見される場合が多く、CKDのステージが軽い段階で治療が開始されます。CKDのステージが軽い段階では運動や食事の制限はありませんが、血尿や蛋白尿が強い時期や特別な治療薬を内服している場合には、激しい運動をひかえる必要があります。また、肥満や高血圧慢性糸球体腎炎の進行を早めます。むしろ適度な運動や塩分をひかえた食生活が大切です。

 CKDのステージが進行すると、高血圧やむくみ、電解質(でんかいしつ)異常、貧血などによる症状が出現する場合があり、これらの症状、検査所見に合わせて降圧薬などの内服や運動・食事制限が必要になります。

 腎生検で慢性糸球体腎炎と診断された場合には、重症度や症状の強さに応じて治療を行います。炎症所見が強い場合には、ステロイド薬や免疫抑制薬に加えて抗凝固薬や抗血小板薬など種々の薬を併用して治療を行います。症状や組織所見が軽い場合には、高血圧薬と抗血小板薬のみの内服で治療を行う場合もあります。

 慢性糸球体腎炎は、無治療で放置した場合には、約20年かけて30%くらいの方が末期の腎不全に進行するといわれていますが、現在は治療薬や治療法も進歩しているので、しっかりと治療を行えば病気を治すことができます。薬の内服を忘れないことや、3度の食事などの規則正しい生活を心がけることが大切です。

 尿管狭窄(きょうさく)による水腎症や膀胱尿管逆流症(ぼうこうにょうかんぎゃくりゅうしょう)が原因のCKDは、腎機能障害の進行を予防するために手術が必要になる場合があります。

病気に気づいたらどうする

 何の症状もなく学校検尿で初めて異常を指摘された場合は、かかりつけ医や指定の病院を受診してください。

 肉眼的血尿やむくみなどの症状がある場合には、小児の腎臓病専門医がいる病院を受診します。

表4 慢性腎臓病の病期ステージ
体位性蛋白尿(たいいせいたんぱくにょう)

 体位性蛋白尿は、安静にすれば2時間以内には蛋白尿が消失してしまう生理的蛋白尿で、成長期の小児に多くみられ、病気ではありません。多くの場合は思春期を過ぎる頃には自然に消失し、腎機能も障害されません。学校検尿で、蛋白尿のみの異常で見つかる場合の約70%は、体位性蛋白尿と診断されます。

 学校検尿は通常は一晩安静後の早朝尿を提出するので、体位性蛋白尿であれば早朝尿は通常蛋白陰性です。しかし、時々検査前夜に排尿を忘れた場合には早朝尿にも蛋白尿がみられ、腎疾患との区別が難しくなります。体位性蛋白尿と他の腎疾患を区別するために、腰に棒を当て5~10分ほど負荷(ふか)をかける前弯(ぜんわん)負荷試験を行う場合があります。負荷後に蛋白尿が強まり、その後ベッドに横になり、2時間以内に尿蛋白が消失すれば体位性蛋白尿と診断されます。慢性糸球体腎炎では安静にしても通常は蛋白尿が消失しません。

 体位性蛋白尿の診断に最も良い目安は、早朝尿で蛋白尿がみられないことです。検査前夜にトイレに行くことを忘れないことが大切です。

池住洋平

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