腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」。なぜ今では新たな国民病と呼ばれているのでしょうか?
誰もがなる可能性がある病気

日本人の4人に1人が腰痛で悩まされているといわれています。この連載の記事「腰痛の8割は原因不明! だからこそ大切な“腰に優しい”椅子選び」では、そのうちの8割が原因不明の「非特異的腰痛」だと述べました。
しかし、原因が特定できる腰痛もあります。その一つが、今回、紹介する「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」です。
脊柱管というのは、背骨の後ろ側にある空洞のことです。加齢や生活習慣などが原因でこの脊柱管が狭められることで、ここを通る神経が圧迫され、お尻から足にかけて痛みやしびれなどが生じる病気が脊柱管狭窄症なのです。
脊柱管狭窄症は、決して珍しい病気ではありません。
日本全国の40歳から79歳まで4400人を対象に行った調査によれば、脊柱管狭窄症の有病割合は5.7%と推定されました。これを年齢分布で標準化すると、すでに約365万人が脊柱管狭窄症にかかっている計算になります。
年代別に見ていくと、40代が1.9%、50代が4.8%、60代が5.5%、70代が10.8%となっています。
これを見ればわかるように、加齢に伴って有病割合が増え、70代では男女とも1割以上の人が脊柱管狭窄症による痛みやしびれに苦しめられているのです。
高齢化の進行によって、脊柱管狭窄症の有病者はますます増加することが予想されます。誰もがなる病気であることを頭に入れ、60代以上はもちろん、40代、50代のうちから予防を心がけるようにしたいものです。
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