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パーキンソン病治療の限界を克服する「小腸内投与」

専用の薬剤を「胃ろう」から注入、薬の「効かない」「効き過ぎ」を解消

 坂井 恵=医学ライター

手術で胃ろうを造り、小腸内に治療薬を持続投与するという、パーキンソン病の新しい治療法が開発された。薬の「有効治療域」が狭まり、効果が安定しにくくなった進行期パーキンソン病に対する次の一手として注目を集めている。

 「とにかく調子が安定する。今までできなかったことができるようになり、自分自身でも驚いています」。そう話すのは、パーキンソン病で小腸に治療薬をダイレクトに投与する新しい治療を2016年11月から始めた松江一紀さん(仮名、55歳男性)。パーキンソン病を発症して10年、病状は徐々に進行し、体調によっては歩くのが難しかったり、姿勢を保てずに椅子からずり落ちてしまうようになった。薬の効果が突然切れて(オフになって)動けなくなるという「ウェアリング・オフ現象」にもしばしば見舞われた。それが、オフになる時間がほとんどなくなり、人の助けを借りずに歩くことだけでなく、走ったり腕立て伏せなどの運動もできるようになったという。

小腸に直接薬を投与する新しい治療法

 パーキンソン病とは、中脳にある黒質という部分の神経細胞が徐々に障害を受けて変質し(神経の変性)、神経伝達物質であるドパミン(ドーパミン)が減少する神経変性疾患だ。ドパミンは、脳で運動の仕組みを調節する働きを担っている。パーキンソン病では、ドパミンが減少することにより、脳から体への運動指令がうまく届かなくなる。その結果、手足のふるえや筋肉のこわばり、動きが緩慢になる、転びやすい、姿勢を保ちにくい、といった様々な運動症状が表れる(図1)。現在のところ、黒質の神経が変性する原因は分かっておらず、根本的な治療法がない難病だ。

図1◎ パーキンソン病で侵される脳の部位と症状

 松江さんがパーキンソン病と診断されたのは2006年。肩や腰の痛みがひどく、病院で検査を受けたことで疾患が見付かった。以来、薬物による治療を続けてきたが、パーキンソン病の進行に伴い、生活に不自由を感じるようになっていた松江さんは、治療薬の「小腸内持続投与」が良いと聞き、その専用薬である「デュオドーパ配合経腸用液」の発売後すぐに治療を受けることを決めた。

図2◎ パーキンソン病治療薬の小腸内持続投与法
腹部に小さな穴を開け、胃へとつないだ「胃ろう」からチューブを体内に入れ、胃から十二指腸を経て小腸(空調)へと薬液を注入する。薬液の容器をセットした専用ポンプは、ポーチに入れて肩から下げるなどの方法で携帯する。
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 デュオドーパは、2016年9月に発売されたばかりの薬だ。薬を小腸に直接、投与するが、そのためには手術で「胃ろう」を造らなければならない。胃ろうとは、腹部に小さな穴を開けて造った、胃とつなぐ“入り口”のこと。胃ろうからチューブを入れ、胃から十二指腸を経て小腸上部の空腸に届かせ、ゲル状の薬液を少量ずつ、16時間かけて持続的に投与する(図2)。

 ただし、薬自体は新しいものではない。パーキンソン病治療用の飲み薬として、以前から広く使われているレボドパという成分だ。パーキンソン病の薬物治療では、少なくなったドパミンを補うが、ドパミンをそのまま投与しても脳に到達できないため、脳でドパミンへと変換されるレボドパの配合剤が古くから使われている。

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