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働く人のココロを鍛える コンディショニング術

定年後のメンタル危機への備えは50代からでは遅い

最終回:ワーク・ライフ・ソーシャルの観点で「肩書に頼らない付き合い」を広げよう

 渡部 卓=帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表

Yさん(43歳・生命保険会社勤務)
今春に定年退職した元上司と連絡を取る機会があり、久し振りに飲みに出かけたところ、現役時代とは打って変わって精彩を欠いた様子で驚いた。定年後も元気に生き生きと過ごしていくためには、どんな準備をしておいたらいいだろう。

 今年で61歳になった私は、相談者の元上司と同じ年頃だと思います。私は現在も大学で教壇に立っていますが、企業に勤めていた学生時代の友人たちは60歳で定年退職している人が少なくありません。継続雇用制度で働き続けている人もいますが、関連会社に出向するなど、働く環境は変化していることが多いようです。

 働き方改革の一環で、65歳までの定年延長や65歳以降の継続雇用延長、定年制の廃止などが進められており、今後は状況も変わってくるかもしれませんが、現在のところは60歳から65歳前後で勤め人生活に区切りをつける方が大半でしょう。

 それまで仕事一辺倒で来た人ほど、定年後に生活が一変して「今後どう生きていけばいいか分からない」と戸惑ったり、仕事という生きがいをなくして気力を失い、心身に不調を来したりする傾向が見られます。企業では50代の役職定年前後で定年退職を見据えた研修やセミナーなどを実施することが多いようですが、私はそれでは遅いと考えています。

 定年後の人生が10年、20年程度だった時代なら、それでもよかったかもしれません。しかし、「人生100年時代」といわれる今は、定年後の人生が30年、40年と続いていく可能性があります。その長い時間を健康で、楽しく生きていくためには、会社の定年とは関係なく、30代、40代のうちから、3つの観点を軸に自分の人生を考えていくことが重要です。

ワークライフバランスに「ソーシャル」の観点を

 3つの観点とは、ワーク、ライフ、そして、ソーシャルです。ワークライフバランスという言葉が浸透して久しいですが、私はかねて「ワーク・ライフ・ソーシャルバランス」を提唱してきました。

ワーク・ライフ・ソーシャルバランスで考えたいこと

ワーク

今の仕事、キャリア、定年後の仕事、起業、ボランティア など

ライフ

心身の健康、趣味や運動などの楽しみ、家族や親友などストロング・タイズとの関わり など

ソーシャル

地域などのコミュニティ、緩やかな絆でつながるウィーク・タイズとの関わり など


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