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循環器の健康に良いといわれる食べ物、その科学的根拠は?

卵や油、ブルーベリー、ナッツ、グルテン…現時点のエビデンスを評価

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 体に良いといわれるさまざまな食品や食事法の中には、「健康に良い」ことを示す確かなデータ(エビデンス)が存在しないものも少なくありません。利益ばかりが誇張されていることを心配した米国の医師たちは、人気の高い食品・食事法を対象に、アテローム性動脈硬化(*1)によって生じる循環器疾患ASCVD;Atherosclerotic Cardiovascular Disease)の発症と、その危険因子(コレステロールや血圧など)に及ぼす影響を示した確かなエビデンスがあるかどうかを調べました。その結果をご紹介しましょう。

野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べる

体に良いといわれる食べ物はたくさんあるが…。(©monticello-123rf)

 今回、研究を行った米National Jewish HealthのAndrew M. Freeman氏らによると、「2015~2020年版米国人のための食生活ガイドライン」では、2歳以上の国民のASCVDの危険因子を改善する強力なエビデンスがある3通りの食事法、すなわち「Healthy U.S.-style Eating Pattern(健康な米国式食事法)」「Healthy Mediterranean-style Eating Pattern(健康な地中海式食事法)」「Healthy Vegetarian Eating Pattern(健康なベジタリアン式食事法)」を推奨しています。

 それらの基本は、「野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べること」です。3通りの食事法の中には、赤身肉、魚、低脂肪または無脂肪の乳製品、液状植物油の少量摂取を勧めるものもありますが、いずれも、飽和脂肪酸、固形脂肪、ナトリウム、砂糖、精製穀物の摂取は抑えるよう指示しています。

 では、個々の食品に関するエビデンスを著者らが評価した内容を見ていきましょう。

植物油

 植物油のうち、常温で固形の油(ココナッツ油やパーム油)は、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-c)を上昇させます。反対に、液状の植物油は、LDL-cを下げ、特にオリーブ油についてはASCVDリスクを下げることを示す明瞭なエビデンスがあります。

 バージンココナッツ油は、精製過程で失われる生理活性の高いポリフェノールを含んでいるため、循環器に良いといわれています。しかし、バージンココナッツ油の摂取がASCVDリスクを低下させることを示したエビデンスはほぼありません。既存のエビデンスは質の高い研究に由来するものではなく、多くが動物実験の結果です。こうしたことから、Freeman氏らは「現在信じられているココナッツ油の健康利益には十分な根拠はなく、バージンココナッツ油であっても飽和脂肪酸含有率は非常に高いため、もし摂取するなら、1日に食べても良い飽和脂肪酸の総量の一部をココナッツオイルからとるに留めるべき」との見解を示しています。

 パーム油も飽和脂肪酸含有率が高く、他の植物油に比べLDL-cを大きく上昇させるため、摂取はASCVDリスクを高めると考えられています。

 一方、バージンオリーブ油は、LDL-cを低下させ、善玉コレステロールとも呼ばれるHDL-cを上昇させます。オリーブ油を多く摂取する人では、死亡率、脳卒中を含む循環器疾患のリスクが低いことも示されています。

*1 アテローム性動脈硬化:動脈硬化の中でも太い動脈に起こる硬化で、動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなる粥腫(じゅくしゅ=アテローム)ができ、次第に厚くなることで動脈の内腔が狭くなる。これが破れると血栓が作られ、動脈が完全に塞がってしまう。

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