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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

タンパク質の摂取を増やせば増やすほど、筋肉が増えるわけではない!

第63回 解明されつつある最新知識

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

筋肉を太くするのに有効なタンパク質の量には上限がある

 続いては、私の研究室の学生が取り組んでいるテーマで、タンパク質を一度に摂取した時、そのうちどこまでが筋肉になるかというタンパク質代謝系に関する問題。その内容が、最近、学術的にちょっとした注目を集めています。

 タンパク質(アミノ酸)を摂取すると筋肉の中でのタンパク質合成が上がるということは、この連載で何度か説明してきました。では、摂取する量を増やせば増やすほど合成が上がるかと言うと、そうではないことがわかってきています。あるところで合成は頭打ちになり、それ以上タンパク質を摂ってもあまり意味がないようなのです。

 頭打ちになる量は20g前後というデータも報告されています(ただし、高齢者は40g前後まで合成が上がっていくようです)。これは普段の食事だけでなく、トレーニング後のプロテインの補給でも同様で、どんな状況であっても基本的には20gがタンパク質量の上限値であるようです。

 この現象は「マッスルフル」と呼ばれています。筋肉が“お腹いっぱい”の状態ということなので、それ以上のタンパク質を摂っても筋肉は食べられないわけです。40~50gの量を摂っても吸収はされますが、それが筋肉の材料になっているわけではなく、余分なものはエネルギー源として燃やされてしまいます。

 つまり、トレーニング後に1kgのステーキを食べても、筋肉の材料として使われるのはほんの一部に過ぎません。ごはん・納豆・生卵を食べるだけでも15gほどのタンパク質を摂取することができますし、それにシャケの切り身を一切れも加えれば20gに達するので、普段の食事で十分ということになります。

 そうなるとプロテインも不要ということになってしまいますが、タンパク質は合成を上げるスイッチでもあるので、20~30gを一日に複数回摂るためには便利で効果的な手段と言えます。ただ、あまり多くの量を摂る必要はないと考えていいでしょう。

◇     ◇     ◇

 この連載は今回が最終回となります。ご愛読いただき、ありがとうございました。今回の内容のように「筋肉学」は日進月歩です。これからも筋肉の知識と魅力を、最新情報も交えて皆さんにお伝えしていきたいと思います。では、またお会いしましょう。

筋肉にまつわる研究は日々進歩している。それまでの“常識” が覆される可能性もあるため、指導者はつねに新たな情報や知識を得ようとする姿勢が必要となる(写真は著者)
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「筋⾁学」は⽇進⽉歩。
これからも筋肉の知識と魅力をお伝えしていきます。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学 ハンディ版』
A5判並製、272ページ、1400円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

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ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。
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