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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

中高年の筋トレは、負担の少ない「スロートレーニング」がいい?

第62回 「筋肉学」を現場で活用する(2)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

 例えば格闘技のようなスポーツでは、疲労困憊(こんぱい)に陥った状態から、いかに相手を上回る力を振り絞れるかが重要になります。そのように精神的なストレスへの耐久力が問われる競技には、回数重視型がプラスになると考えられます。ただ、精神的なストレスの強いトレーニングを年中行うのは大変なので、1年のうちで時期を区切って行うようにしてもよいと 思います。

 強度重視でも回数重視でもない工夫としては、加圧トレーニングやスロートレーニングがあります。これは局所的なストレスを強めることで筋肉を早く疲労させることが可能なので、体力の低い人、リハビリテーションなどに効果的です。また、短時間で無理なく筋肉を追い込むことができるので、高齢者や激しいトレーニングをしたくないという一般女性などにも向いているでしょう。

 ただ、必ずしも「負荷が軽い=トレーニングが楽」というわけではないので、そこは誤解をしないようにしないといけません。それなりの筋肉をつけたいと思ったら、やはり回数を増やしてオールアウトに追い込むなどの努力が必要です。

成長期のトレーニングは回数重視型が適している

 年代によっても、選ぶべきトレーニングは変わってくると思います。

 高強度のトレーニングは、筋肉だけでなく関節や骨に及ぼす力学的ストレスも強く、成長期の選手がハードに行いすぎると、それが原因で成長痛を起こしたり、骨や関節の障害に結びついたりする危険性が懸念されます。身体が成長し切っていない選手は、低強度・高回数で追い込むトレーニングを選んだほうがいいでしょう。

 強い負荷を避けなければいけないのは、まさに身長が伸びている時期。日本人の場合は10~13歳の年代が中心になると思いますが、成長期の定義には難しいものがあり、多少の個人差はあります。なかには高校生になってから急に身長が伸びる子どももいます。その時期に筋力トレーニングを行う必要が出てきた場合も、負荷そのものはなるべく軽くしたほうがいいと思います。

 一方、高回数のトレーニングは、筋肉にしっかり負荷がかかる割に関節や骨へのストレスは小さくて済みます。“しごき” になってしまうほどやらせるのは問題ですが、回数を増やしていくチャレンジをさせることは、筋持久力だけでなく、心理的な持久力を高めるという観点からも大切になると思います。

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