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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

「一気に加速、すぐに力を抜く」-バリスティックトレーニングのポイント

第55回 メカニカルストレスを高める方法(2)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

切り返し動作が含まれるとプライオメトリックトレーニングに

 バリスティックトレーニングと同様のコンセプトで活用されているのが「プライオメトリックトレーニング(プライオメトリクス)」です。両者の区別は難しいのですが、プライオメトリックトレーニングにはバリスティックトレーニングの要素も入っている、と認識しておけば間違いないでしょう。

 例えばベンチスローなら、負荷を強く加速させて瞬間的に力を発揮するだけでなく(これだけならバリスティックトレーニング)、上から落ちてきたシャフトを受け取るときにブレーキをかけながら筋肉を伸張させ、すかさず切り返してもう一度投げるという動作全体を指して、プライオメトリックトレーニングと呼びます。これは「伸張-短縮サイクル」と呼ばれる運動で、負荷を投げる短縮性動作(コンセントリック)の前に、負荷を受け取る伸張性動作(エキセントリック)を行うことがポイントです。

 メディシンボールを使ったキャッチボールも同様で、投げるだけならバリスティックトレーニングですが、ボールを受け取って筋肉を伸張させてから投げ返すとプライオメトリックトレーニングになります。ジャンプも、しゃがんだ状態から跳ぶだけならバリスティックトレーニング。台の上から飛び降りた反動を利用して跳び上がるような動作の場合はプライオメトリックトレーニングです。

 バリスティックもプライオメトリックも、外見上の負荷強度は決して高くありません。しかし、瞬間的な力発揮は非常に大きくなるので、メカニカルストレスが強いトレーニングということになります。ということは、見た目にはそれほど大きな負荷がかかっていなくても、トレーニングとしては危険を伴うということでもあります。瞬間的に大きな力がかかることで、筋肉を痛めたり、腱を断裂したりといった障害も起こりやすいといえるでしょう。

 ですから、これらのトレーニングを行う際には、まず基本的な筋力トレーニングがしっかりできていることが大前提。しかも、単純に筋力がしっかりついていればOKというわけではなく、関節の構造に合った動きをしているかどうかも重要です。関節の伸展・屈曲が安定して行われない方向に動作をしたりすると、やはりケガの原因になってしまうことが考えられます。

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