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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

昆虫の筋肉の特性をスポーツに生かせるか?

第30回 1秒間に2000回ものスピードで羽を動かせる「飛翔筋」の仕組み

 

“筋肉博士”石井直方先生(東京大学教授)が、筋肉のメカニズムや機能を毎回わかりやすく解説していきます。前回は、世界で一番スピードの速い動作ができる筋肉が、ハエやカなどの空を飛ぶ昆虫の筋肉だと紹介しました。この筋肉の特性を、“人間のスポーツやトレーニング”などに活かすことはできないのでしょうか。

昆虫には2種類の飛び方がある

 前回世の中で最もスピードの速い動作を生み出す筋肉は、カやハエがはばたくときに使う筋肉(飛翔筋といいます)であるといいました。そういった研究を最初に行ったのは、プリングルという有名な昆虫の筋肉の専門家です。

 プリングルは、2kHzのスピードを生み出す飛翔筋が、どのくらい速く収縮するかということを調べました。昆虫から取り出した筋肉を刺激して、収縮速度を測ってみたところ……なんと決して速くないことがわかったのです。筋肉そのものが素早く収縮し、素早く弛緩するという予測があったわけですが、逆にゆっくりじわじわと力を発揮するタイプの筋肉だった。ヒトに例えると、速筋タイプではなく、常に緊張を保っているようなトニック(持続的に活動する)タイプの筋肉であるということがわかりました。

昆虫の飛び方には2種類ある。一つはチョウやガのようにヒラヒラと飛ぶタイプ。もう一つはハエやカのようにブーンと音を立てて飛ぶタイプだ(©pat138241 -123rf)
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 これは、おかしい。なぜ筋肉のスピードは遅いのに、はばたきは速いのか? そこでさらに研究を進めると、昆虫の飛び方には2種類あることがわかりました。1つは、チョウやガのようにヒラヒラと音もなく飛ぶタイプ。もう1つは、カやハエ、ハチのようにブーンと音を立てて飛ぶタイプ。そして、ブーンと飛ぶタイプのほうが周波数は高いのですが、筋肉そのものの特性としては、ヒラヒラと飛ぶタイプのほうが速いことが判明しました。

 続いて、飛翔する際の神経と筋肉の活動を記録したところ、チョウがヒラヒラと飛んでいるときは、まず羽を上げる筋肉が収縮して、羽を下げる筋肉が弛緩する。次に、羽を下げる筋肉が収縮して、上げる筋肉が弛緩する。それが交互に繰り返されていました。人間がはばたくまねをするときは、三角筋が収縮して腕が上がり、大胸筋や広背筋が収縮して腕が下がります。チョウなども、それと同じようにして舞っているというわけです。

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