日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > 医療問題なぜなにゼミナール  > 第3回 診察室でのコミュニケーションは「双方向の努力」で
印刷

医療問題なぜなにゼミナール

第3回 診察室でのコミュニケーションは「双方向の努力」で

患者側のコミュニケーション能力向上も不可欠

 山口育子=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

誰もがいつかはお世話になる「医療」。ですが、自分や家族が病気になるまで、医療については特に関心がないという人も多いのではないでしょうか。医師との付き合い方や医療制度の動向まで、いざという時にあわてず、安心して治療を受けるために必要な知識をNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長の山口育子さんが伝授します。

30分以上話を伺っても要領を得ない・・・

 患者から医療者への不満で常に多いのは、医療者の説明に関することです。「もっとわかりやすく説明してほしい」「患者の気持ちに配慮した言葉遣いをしてほしい」という声をよく聞きます。医療が人間(患者)を相手にする以上、医療者にコミュニケーション能力が求められるのは当然です。私たちCOMLは模擬患者活動にも力を入れており、患者とのコミュニケーションの取り方の練習や、医療面接の試験の相手役として、医療者(や学生)のコミュニケーション教育に参画してきました。

 ただ、忘れてならないのは、コミュニケーションは“双方向の努力”があってはじめて成り立つということです。つまり、医療者がどれだけコミュニケーション技術を磨いても、患者が応えてくれなければ、一方通行で終わってしまうのです。もちろん、モノも言えないようなつらい症状のときにも努力せよと言っているわけではありません。自分の症状を伝えるとき、説明を聞いて理解するとき、どうしたいのかを伝えるときなど、コミュニケーションがとれる状態のときの話です。

 電話相談で多くの患者・家族の声に耳を傾ける中で、私は、医療者だけでなく、患者側にもコミュニケーションに問題があるのではないかと感じるようになりました。30分以上話を伺っても、いったい誰のことなのか、何が問題なのかがわからないご相談が少なくありません。そのたびに「医療機関でも同じように話されているとしたら、医療者には伝わらないだろうな」「感情をぶつけるばかりでは、医療者も向き合ってくれないだろう」と感じました。何とかして、患者側のコミュニケーション能力を高める活動へと結びつけたい―。その思いが、2001年から開催している「患者と医療者のコミュニケーション講座」へと発展していきました。

電話相談で感じる患者側の課題

 私が電話相談で痛感するのは、相談したい内容やそれに至る事情、経過などを、理路整然とまとめて話してくださる方は少数派だということです。私たち相談スタッフは、まるでジグソーパズルのピースをはめるように、あちらこちらに飛ぶお話を受け止めて聴き、話の全容をつかむ努力を強いられます。1件に約40分かけて対応している電話相談だからできることですが、診察室では、ドクターに40分かけてじっくり話を聴いてもらうことはまず不可能です。ドクターは早々に患者の話を遮り、自分が必要と思うことを聞くでしょう。患者は聞かれたことに答えるだけで、結局、言いたいことが言えないまま診察が終わる・・・だから不満が残るのです。

 COMLの「患者と医療者のコミュニケーション講座」では、自分のコミュニケーションの癖に気づき、改善のポイントをつかむためのワークショップおこなっています。診察室でのコミュニケーションでまず大切なのは、限られた時間の中で、ポイントを簡潔に伝えることです。年齢とともに増える「あれ」「それ」「これ」を適切に言語化することも大事です。どんな症状で、いつからどのように変化し、どういうときに支障があるかなど、自分の置かれている状況をドクターに理解してもらえるよう、要領よく話さなければなりません。

診察室でのコミュニケーションのポイント
  • ポイントを簡潔に伝える
  • 「あれ」「それ」「これ」を言葉にする
  • 「いつから」「どう変化した」を伝える
  • (例:「4日ほど前からのどが痛くなり、昨晩からは熱も出てきました。今朝測ったら38度でした」)

 患者側から伝えられればよいかと言うと、そうではありません。治療に必要な情報を医師から聞き、内容を理解する能力も問われます。しかし、周りを見渡すと、実際には一方的に自分の訴えや話ばかりを繰り返す人が少なからず存在します。繰り返しますが、それでは“双方向”にはならないのです。

1/2 page

最後へ

次へ

BACK NUMBERバックナンバー

バックナンバーをもっと見る

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 突然死を招く「高血圧」 “少し高め”でも放置は危険!

    日本人の40代男性の約3人に1人、50代男性では約3人に2人が該当するといわれ、女性でも更年期以降に増加する「高血圧」。「少し高いだけだから」と思って対策を先延ばしにしていると、血管の老化が進み、脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる合併症を引き起こすほか、ヒートショックによる突然死などの原因にもなる。高血圧はなぜ怖いのか。そして、どうすれば血圧は下がるのか。本特集で最新情報をアップデートしておこう。

  • 長年の悩み「腰が痛い」を解決する

    男女とも非常に多くの人が悩むのが「腰痛」だ。ぎっくり腰のように、痛みは強いが原因が分かりやすいものは対策しやすいが、問題なのは原因がはっきりしない、「なんだか知らないけど、いつの間にか…」始まってしまう慢性腰痛。長年にわたって悩む人も少なくない。だが、この10年で腰痛治療は大きく変わった。

  • 痛風・尿酸値の「そこが知りたい」

    多くの男性が気にする「痛風」、そして「尿酸値」。「プリン体を抑えた発泡酒などを選べばいい」「魚卵、レバーはダメ」など、いろいろな“常識”が知られているが、これらの常識がすべて正しいわけではない。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間
明日は変えられる。 提供:アステラス製薬

NIKKEICopyright © 2018 Nikkei Inc. All rights reserved.