日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > 医療問題なぜなにゼミナール  > 第8回 大病院にかかる際に「紹介状」が必要なわけ
印刷

医療問題なぜなにゼミナール

第8回 大病院にかかる際に「紹介状」が必要なわけ

背景には診療報酬による経済誘導も

 山口育子=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

誰もがいつかはお世話になる「医療」。ですが、自分や家族が病気になるまで、医療については特に関心がないという人も多いのではないでしょうか。医師との付き合い方や医療制度の動向まで、いざという時にあわてず、安心して治療を受けるために必要な知識をNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長の山口育子さんが伝授します。

 最近、大病院を受診する際に、「紹介状を持参してください」と言われることが増えました。COMLの電話相談でも、「紹介状がないと、一見(いちげん)の患者は診てもらえないのですか?」というご質問をよくいただきます。

 「絶対診ません」という医療機関はさすがにないと思いますが、病状や必要な治療内容によって医療機関を選ぶという病院の機能分化が進むなか、紹介状を持参する必要性は高まる傾向にあります。たとえ軽い病気でも大病院で診てもらいたい、と望む方もいますが、高度・先進的な急性期医療を担う病院には、そのような医療が必要と専門家が判断した患者が受診するという仕組みなのです。

紹介状を持参しない患者が多ければ大病院の収入減に

 このような仕組みが広がりつつある背景には、急速な高齢化などに伴い患者数が増える一方で、財源的な問題や病床数の規制もあり大きな病院は増やしにくく、加えて、医師とはじめとする医療従事者数も十分とは言い切れないという現実があります。そうした中で、軽い病気の場合を含め多くの方が大病院に集中したら、病院が機能不全に陥ってしまいかねません。

大病院では、紹介状を持たずに診察を受けると、多額の特別料金が必要なケースもある。(©ximagination-123rf )

 また、病院側が、地域の診療所などで書いてもらった紹介状の持参を奨励する背景には、診療報酬による経済誘導も関係しています。大病院に初診でかかる際に紹介状を持参する患者を増やすよう、診療報酬上、“紹介率”が関係する項目が設定されているのです。

 紹介率とは、初診の患者が紹介状を持参している割合のことです。例えば、2014年の診療報酬改定で、特定機能病院(大学病院本院や高度・先進医療を担う特定の医療機関)や500床以上の地域医療支援病院では、紹介率が50%未満だと、初診料や外来診療料(200床以上の病院に再診する場合の基本料金)に関し、安い点数しか請求できないようになりました。地域医療支援病院でない500床以上の病院では、紹介率が40%未満だと同様の低い点数になります。診療報酬は1点=10円と決められており、紹介率の低い病院は収入が減ってしまうことになります。

 そもそも、地域医療支援病院とは地域の基幹病院であって、認可される条件に紹介率や逆紹介率(症状が安定した患者を地域病院や診療所に逆に紹介して戻した割合)が大きくかかわっています。地域医療支援病院として認められれば、入院基本料に加算が付けられる(病院が得る診療報酬が増える)ため、これもある種の誘導と言えるでしょう。このようにして、大病院には、紹介状を持参する初診患者を増やそうというインセンティブ(誘導)が働いています。

1/2 page

最後へ

次へ

BACK NUMBERバックナンバー

バックナンバーをもっと見る

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • つらい筋トレ不要? 効率的に「お腹を凹ませる」トレーニング

    薄着の季節になると、何かと気になる“お腹ぽっこり”。短期間で何とか解消したい!と思う人は多いだろう。しかし、スポーツジムでしっかり運動するのはつらいし、運動する時間を確保するのも大変だ。そこで、今回のテーマ別特集では、手軽に実践できる「ドローイン」と「猫背姿勢の改善」で“ぽっこりお腹”を解消していこう。

  • 突然死を招く「高血圧」 “少し高め”でも放置は危険!

    日本人の40代男性の約3人に1人、50代男性では約3人に2人が該当するといわれ、女性でも更年期以降に増加する「高血圧」。「少し高いだけだから」と思って対策を先延ばしにしていると、血管の老化が進み、脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる合併症を引き起こすほか、ヒートショックによる突然死などの原因にもなる。

  • 長年の悩み「腰が痛い」を解決する

    男女とも非常に多くの人が悩むのが「腰痛」だ。ぎっくり腰のように、痛みは強いが原因が分かりやすいものは対策しやすいが、問題なのは原因がはっきりしない、「なんだか知らないけど、いつの間にか…」始まってしまう慢性腰痛。長年にわたって悩む人も少なくない。だが、この10年で腰痛治療は大きく変わった。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間
明日は変えられる。 提供:アステラス製薬

NIKKEICopyright © 2018 Nikkei Inc. All rights reserved.