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病気にまつわる数字の話

運動すれば健康になる? 健康だから運動できる?

アンケートだけでは分からない因果関係

 北澤 京子=医療ジャーナリスト

「5年生存率」「検査陽性」「基準値」「平均余命」「リスク」…。皆さんは、ニュースで見かける健康・医療関連の数字の意味を、正しく理解していますか? 病気にまつわる「数字」について、誤解しがちなポイントを分かりやすく解説するとともに、数字の読み方、解釈の仕方についても、わかりやすく説明します。

 10月12日の「体育の日」に合わせて、スポーツ庁は2014年度の「体力・運動能力調査」の結果を発表しました。朝日新聞(10月12日朝刊)によると、今回の調査では初めて運動と健康との関係を分析し、「運動しているお年寄りほど、日常生活の基本動作が維持できている」ことが分かったのだそうです。

 調査では、「運動」の程度を、「ほとんど毎日(週3~4日以上)」「ときどき(週1~2日程度)」「ときたま(月1~3日程度)」「しない」の4段階に分類し、「日常生活の基本動作が維持できている」ことを「立ったままでズボンやスカートがはける」かどうかで調べました。その結果、運動する頻度が高い高齢者(65~79 歳)ほど、ズボンやスカートの更衣を「何にもつかまらないでできる」と答えた人の割合が高かったのです(下図)。「何にもつかまらないでできる」割合は、運動をしない男性では69%であったのに対し、週3~4日以上運動する男性では85%に上りました。

高齢者(65~79 歳)の「ADL(日常生活活動テスト)」及び体力・運動能力 とスポーツ・運動習慣との関係
(出典:文部科学省「平成26年度 体力・運動能力調査])
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アンケートでは「因果の逆転」に注意

 スポーツ庁はこの結果を、高齢者が運動を続ける励みにしてほしいと考えているかもしれません。運動することにより足腰の筋力やバランス感覚が鍛えられ、日常生活が不自由なく過ごせるようになれるのなら、望ましいに違いありません。

運動すれば健康になる? 健康だから運動できる?(©magiceyes/123RF.com)

 ただ、今回の調査だけから、「運動すれば健康になれる」と結論付けるのは少々早計です。「頻繁に運動する」ことと「立ったままズボンやスカートがはける」こととの間に関連がありそうなことは分かっても、「頻繁に運動する」ことが「立ったままズボンやスカートがはける」ことの原因とは必ずしも言えないからです。

 なぜなら、どこにもつかまらずに「立ったままズボンやスカートがはける」ような、もともと足腰が丈夫な人であるからこそ、「頻繁に運動する」ことに何の支障もない、と考えることもできるからです。そもそも、何かにつかまったり椅子に腰掛けたりしなければズボンやスカートがはけないような人は、頻繁に運動などできません。

 別の例を考えてみましょう。ある男子校のクラブ活動で、バレー部の生徒の平均身長は178cm、書道部の生徒の平均身長は166cmだったとします。このことから一見、「バレー部に入ると背が伸びる」と考えそうになります。でももしかしたら、もともと背が高い生徒がバレー部に勧誘されただけかもしれません。

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