日経グッデイ

Dr.松倉のサプリのすすめ

しつこい口内炎の予防にはビタミンAとB群を取る!

口腔粘膜の働きをサプリで整えながら、ストレスケアも心がける

 松倉知之=松倉クリニック&メディカルスパ院長・医師

忙しい日々のなか、健康のため、若々しさアップのためにサプリメントを活用するビジネスパーソンは多いはず。でも、そのサプリメントが体内で十分に力を発揮していないとしたら? いま注目の理論「分子整合栄養医学」をもとに、松倉知之先生があなたにとって本当に必要な栄養素と、“本当に効く”サプリメントのとりかたを提案します。

繰り返す口内炎は口腔環境だけではない!

 忙しく働く読者の中には、口内炎に悩まされている方が多いかもしれません。一度できたらなかなか治らず、治ったと思ったらすぐできる…。口内炎とは、口の中の粘膜が炎症を起こした状態のことをいいます。

  • 酸っぱいもの、辛いものを食べると強烈にしみて痛む
  • 歯ブラシが触れると激痛がする
  • 口を動かすと痛いので、人と話をするのもつらい

 このような、なんとも憂うつな症状があるのが特徴です。

 口内炎の多くは、「アフタ性口内炎」というもので、ほおの内側や歯ぐき、舌などに赤い縁で囲まれた部分が白っぽくくぼむ症状が現れます。歯並びが悪かったり、歯の一部が尖っていたりして同じ場所を繰り返し噛んでしまう人も口内炎を繰り返しやすいもの。

 痛くて染みても、放っておいても、口内炎は1~2週間ほどで治ってしまうので「痛みがつらくなれば薬を塗ればいい」と対処している人も多いでしょう。痛みを抑えるにはステロイド剤が含まれた口腔用の局所ステロイド軟膏がよく効きます。患部を刺激から守る、パッチタイプの貼付剤も市販されています。

 口内炎がなかなか治らない、繰り返すといったことに悩んでいるならば、まずはステロイドで症状を抑えることが基本です。それと同時にあなたの生活に発症の原因がないかを見直し、不足している栄養素をサプリメントで補充すると、予防の効果が期待できます。私自身、「常に口内炎がある」というくらい、かつては悩まされていました。しかし、サプリメントをとるようになってからは、たまに口の中を噛んでしまって口内炎ができても、すぐに治るようになりました。

ストレスによって全身の機能が低下、皮膚粘膜代謝も悪化する

口内炎
口内炎とは、口の中の粘膜が炎症を起こした状態のこと。不足している栄養素をサプリメントで補充すると、予防の効果が期待できます。(©hasan eroglu-123rf)

 口内炎ができるときには、「疲れが溜まっている」あるいは「精神的ストレスがある」といった要因があることを実感している方も多いかもしれません。現代人をとりまくストレスは、この連載でも「疲れでギブアップ寸前ならCoQ10とαリポ酸を取る」の回でお話ししたように、体を「戦いに備える状態」にしてしまいます。

 プレッシャーや緊張などを感じると本能的に「自分は戦闘状態に置かれている」と判断し、ストレスに対抗するためのホルモン「コルチゾール」を副腎から分泌します。

 加えて、脳ではアドレナリンの分泌も促され、神経が興奮状態に切り替わります。体はいつでも戦うことができるように、筋肉の動きを優先します。それ以外の場所ではエネルギーを無駄遣いしないように、胃腸の働きを抑えたり、男性の場合は勃起しにくくなるなどの状態に変わっていきます。すると皮膚や粘膜では代謝サイクルが乱れ、肌荒れや口内炎が起こりやすくなるのです。

ビタミンAとB群で粘膜の修復を促す

 頑張り屋の人ほど、「この程度で疲れているわけにはいかない!」と自分を鼓舞し、ストレスを蓄積してしまうものです。日々のストレスを癒すためには、しっかり睡眠を取り、疲れを翌日に持ち越さないよう心がけてください。また、日頃の食生活で不足しがちな栄養素をサプリメントで補うことが大切です。

 お薦めしたいのは、ビタミンAとビタミンB群をセットで取ることです。前者は、皮膚粘膜代謝の正常化のために欠かせない栄養素で、後者はタンパク質の代謝に関わり炎症を起こした粘膜の修復を促します。厚生労働省が定める耐容上限量(過剰摂取による健康障害を起こす危険のない摂取量の最大限度量)を参考に摂取すれば、市販のサプリメントでも改善が実感できるでしょう。

  • ビタミンA:1日当たり2700IU(※成人の場合の耐容上限量)
  • ビタミンB群:1日当たり4000mg

 ちなみに、私のクリニックではそれぞれの患者さんの状態を確認しながら、治療の一環としてビタミン Aを1日当たり30000~60000IU、ビタミンB群は1日4000mg摂取してもらっています。インターネットなどで購入できる「B-100」と呼ばれるサプリメントであれば、1粒でB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6を合わせて500㎎ほど摂取できます。8粒程度を1日2~4回ぐらいにわけて取るといいでしょう。

 ただし、ビタミンAは、過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、肝臓障害を起こすことを以前にも触れました(参考記事:「薄毛が気になりだしたらビタミンA不足を疑え!」)。サプリメントの使用は3カ月を目安とし、効果が実感できない場合は使用を中止しましょう。

口の周りに“ぶつぶつ”ができたらご用心! 「口唇ヘルペス」の疑いも…

 口内炎とともに、口のトラブルで注意したい口唇ヘルペス。ちなみに、原因は分かっていませんが、コルチゾールが高い状態ではリンパ球の割合が下がり、免疫バランスが崩れます。すると「ヘルペスウイルス」などが活発になり始めます。ヘルペスは、子どもの頃に感染した水ぼうそうのウイルス(ヘルペスウイルス)が、症状が消えても神経内に潜伏し続け、疲労やストレスによって免疫力が低下すると、活性化することで起こります。

 唇やその周囲が熱っぽく、ピリピリ・チクチクするような症状から始まり、水疱(すいほう)ができるのが「口唇ヘルペス」と呼ばれます。ピリピリ・チクチクを感じたり、小さな発疹ができているのを見つけたらすぐに受診し、治療を受けることが悪化を防ぐための大切なポイントです。

 最近の国内外の研究では、「偏頭痛や慢性疲労症候群も、免疫力低下によるヘルペスウイルスの活性化と関わっているのではないか」とする論文がたくさん発表されています(J Neurol. 2011 Apr;258(4):689-90.)。また、ヘルペスウイルスの活性化は顔面神経麻痺や突発性難聴など、働き盛りのみなさんに起こりやすい厄介な疾患とも関わっているのではと私は注目しています。

 最後に、口内炎には、要注意の病気が隠れている場合があることも忘れないでください。

 口の中に何カ所もできたり、再発を繰り返したりする場合には「再発性アフタ性口内炎」といって、自己免疫疾患の一種である「ベーチェット病」の疑いが考えられます。また、口腔がんや白血病の随伴症状として現れることもあるので、「たかが口内炎」とあなどらず、冒頭で説明したように、市販薬を1週間ほど使っても口内炎がなかなか治らないようでしたら、内科や口腔外科を受診してください。

(まとめ:柳本 操=フリーライター)

松倉知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。