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幸福薬局・幸井俊高の しあわせ漢方

かぜに効く漢方

免疫力を高めて病気の原因から治していく

 幸井俊高=薬石花房 幸福薬局代表・薬剤師

職場が同じで、同じように生活をしていても、めったにかぜを引かない人もいれば、頻繁にかかる人もいます。「その違いは、一人ひとりの免疫力の強さと関係があります」と幸福薬局の薬剤師、幸井さんは話します。症状を緩和することが目的で用いられる西洋薬に対し、漢方薬は免疫力を高め、根本からかぜを治していくといいます。

Aさん(女性、40歳)
「かぜを引きやすく、1年に何度もかぜを引きます。冬は毎年、職場の人間の中で最初にかぜを引きます。しかも、なかなか治りません」

 神奈川県に住む40歳の女性のケースです。子どもの頃からかぜを引きやすく、特に季節の変わり目や、疲れたとき、無理をしたときなどに、よくかぜを引くそうです。寝込むほどではないのですが、かぜを引いてから1カ月近くが経っても、少し熱っぽく、鼻水や痰(たん)が出ると話していました。汗をじっとりとかき、頭の中がもやもやしてすっきりせず、不快な状態が続くといいます。白い舌苔(ぜったい:舌の表面にできる苔状のもの)が、舌に薄く付着しています。

 かぜは身近な病気の一つです。軽い症状で済む場合もありますが、Aさんのように長引いたり、あるいは発熱や咳などの症状が重かったりすると、日常生活や仕事に支障を来します。特に、子どもや高齢者など体力のない人にとっては、長引かせると別の大きな病気を呼び込むこともあり、なかなかあなどれません。かぜは万病の元。できるだけ早く根治しましょう。

原因があって病気になり、病気になって症状が現れる

 かぜは、同じように生活していても、あるいは同じ職場で働いていても、めったにかからない人もいれば、年に何度もかかってしまう人もいます。かぜの主な原因であるウイルスは、空気感染もしくは接触感染という経路で、体内へ簡単に入ってきます。それでもかぜを引きやすい人と、引きにくい人がいるのは、一人ひとりの免疫力の強さ・弱さと関係があります。

 漢方を理解する上で、「原因→病気→症状」という流れを理解することが重要です。病気には原因があり、その結果として症状が現れるということです。

 かぜの場合、根本的な病気の「原因」は、その人の免疫力の低下が考えられます。かぜのウイルスが体内に侵入しても、免疫力が十分に強ければかぜは引きませんが、免疫力が低下しているとかぜを引いてしまいます。そして、発熱や咳、くしゃみ、鼻水などは、その結果として現れてくる「症状」です。

 これらの症状を作り出す病気を、その原因から治していこうとするのが漢方薬です。こうした考え方を原因療法といいます。対して西洋薬は症状を抑えるのが得意であり、こちらは対症療法と呼ばれています。

 かぜの症状の多くは、自分の力でかぜを早く治そうとする、一種の生体防御反応です。発熱は、免疫力を高めるための反応です。体温が1℃上がると白血球の働きが約5倍に高まるといわれています。また、咳、くしゃみ、鼻水などは、体内に入ってきた(または、入ってこようとする)ウイルスや細菌を体外に追い出すための反応です。

 西洋薬を飲むと、症状が緩和され、楽になります。しかし一方で上記の生体防御反応が抑えられるために免疫力が下がり、ウイルスや細菌がかえって体内に侵入しやすくなります。その結果、かぜが長引いてしまうことがよくあります。

 漢方薬の場合は、飲むと体温が上がり、暑くなり、汗がたくさん出ます。その結果、巡りが良くなり体に不要なウイルスや細菌を追い出すことで免疫力が上がり、かぜが早く治ると考えられています。

漢方は根本原因から病気を治すことに主眼を置いている

「大棗(タイソウ)はクロウメモドキ科の落葉高木サネブトナツメなどの成熟果実。 胃腸機能を調整し、精神安定、滋養作用があります」
(写真:室川イサオ)

 Aさんの場合は、免疫力や抵抗力の弱さが、かぜを長引かせている原因のようです。普通の体力の人だとかからないようなかぜに容易にかかり、普通だとすぐに治る程度のかぜでも長引かせてしまいます。このような証(しょう)を「気虚(ききょ)」といいます(証とは一人ひとりの病状や体質のこと)。

 「気」は人体の基本的な構成要素の一つで、生命力や生命エネルギーに相当するものです。特に病邪(病気の原因となるもの)の侵入を防止したり、侵入した病邪を排除したりする働きのある気を「衛気(えき)」といいますが、この衛気が十分足りていないと、病気にかかりやすくなります。

 このような場合は、衛気を補う漢方薬を使います。代表的な処方は桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)です。Aさんには桂枝加黄耆湯を服用してもらい、かぜを治しました。

 食欲不振や腹痛などの胃腸症状をともなう場合は、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を使います。先に紹介した桂枝加黄耆湯にもある黄耆(オウギ)という生薬に、衛気を補う力があります。

 「かぜを引きやすい体質」そのものを改善したい場合は、前述した二つの漢方をある程度長期間服用し、体質改善していくといいでしょう。また、日ごろから疲れやすい、だるい、立ちくらみなどの症状がある場合は、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が効果的です。

 

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