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幸福薬局・幸井俊高の しあわせ漢方

「うつ病」に効く漢方

漢方で「うつ体質」を改善していき、再発の可能性を下げていく

 幸井俊高=薬石花房 幸福薬局代表・薬剤師

 現代日本はストレス社会。仕事上のストレスなどが原因で、うつ病などの精神疾患にかかる人が増えています。2015年から企業でのストレスチェック制度が始まったのは記憶に新しいところです。
 うつ病は再発しやすい病気です。薬物療法や精神療法により症状が回復しても、「うつ体質」が解消されない限り、再発したり長期化したりする可能性があります。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「漢方薬によって『うつ体質』そのものの改善を進めていくと、服用する抗うつ薬が減っていき再発の可能性が下がります」と話します。

Aさん(男性、45歳)
「会社のリストラで人員が削減され、残された社員の仕事量が大幅に増えました。月に100時間ほど残業しています。そんな毎日が数カ月間続いたころから体調に異変を感じるようになりました。とくに吐き気と脇痛に苦しみました。そのうち出社すること自体がつらくなり、病院でうつ病と診断されました。現在休職中です」

仕事上のストレスが原因で、うつ病にかかる人が増えています。2015年から企業でのストレスチェック制度も始まりました。(c) ximagination-123rf

 Aさんは休職前、サービス残業や土日出勤もしていました。帰宅後も仕事のことを考えると吐き気がしました。今度は自分がリストラされるのでは、という不安も常に抱えていたそうです。

 Aさんの脇痛は、張ったような痛みです。最初に内科を受診しましたが、異常はみつかりませんでした。処方された吐き気止めや痛み止めが効かなかったため、心療内科に行ったところ、うつ病と診断されました。抗うつ薬を処方されていますが、こちらもあまり効果を感じません。舌は紅い色をしています。

 気分の落ち込みや、無気力、憂うつ感は、だれにでもある感情の動きです。軽い抑うつ状態や一時的な症状なら心配はいらないでしょうが、これが何週間も続くようなら対策を打ったほうがいいでしょう。心身の健康や社会生活に影響が及ぶことになりかねません。

 人間だれしも過度のストレス状況に継続的に置かれると、心身ともに衰弱し、自分を肯定する気持ちも弱くなります。そうなると自分の存在意義や生きる目標などもわからなくなり、自分に自信がもてなくなり、何事に対しても無気力になっていきます。

 これは、心身の活力やエネルギーが低下している状態です。うつ病の場合、ここに気分障害に伴う気の流れの停滞が深く関わっているのが特徴です。

 うつ病に対しては抗うつ薬などによる薬物療法による治療が一般的ですが、うつ病は再発したり長期化したりしやすい病気です。薬物療法や精神療法により症状が回復しても、「うつ体質」が解消されない限り、再発の可能性があります。実際、抗うつ薬を減らすと症状が再発する人も多くいます。漢方薬による「うつ体質」の改善を並行して進めていくと、服用する抗うつ薬が減っていき、再発の可能性が下がります

うつ病と関係が深いのは肝・心・脾の失調

 うつ病に対し、漢方は二つの角度から治療を進めます。一つは、強いストレスや刺激に直面する患者に対し、ストレスに対する抵抗性を高めていくことです。ストレスに対する許容量を大きくしていくことにより、強い刺激によって心が折れる危険を和らげます。強いストレスという強い病因による発病(実証)に対する治療法です。

 もう一つは、心身が弱ってしまっている患者に対し、心身の活力を充実させることです。心身が弱っていては、普段なら平気な程度のストレスにも敏感に反応し、落ち込んだり抑うつ状態になったりします。弱った心身に活力とエネルギーを与えることにより、うつ状態から回復させたり、刺激に対していい意味で鈍感にしたりします。病邪に対する自分自身の底力(正気:せいき)の衰退が原因の発病(虚証)に対する治療法です。

 要となっているのは五臓の肝(かん)です。肝は、からだの諸機能を調節(疏泄:そせつ)する臓腑です。自律神経系や情緒の安定、気血の流れと深い関係があります。この肝の機能が失調したり弱ったりすると、疏泄がスムーズに働かなくなり、抑うつ状態となります。心配や不安、怒り、思い悩みなどの感情の起伏が限度を超えると気の流れが滞り、それが気血や臓腑に影響を及ぼし、うつ病となるのです。ことが思いどおりに運ばない、思いが遂げられない、ということが引き金となる場合もあります。

*1 五臓とは、体の機能を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という5つに分けたものです。五臓は、個別の内臓器官を意味するものではなく、人体の機能的単位になります。漢方ではこれらのバランスを調えることで病気を治療します。

 「うつ体質」は、肝の失調以外には、人間の意識や思惟(しい)など、人間らしい高次の精神活動(神志:しんし)をつかさどる五臓の心(しん)や、消化吸収をして気血を生成する五臓の脾(ひ)の機能失調とも深い関係にあります。

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