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幸福薬局・幸井俊高の しあわせ漢方

漢方はがんにどう対処するのか

カラダの免疫力を高め、がんに対処していく

 幸井俊高=薬石花房 幸福薬局代表・薬剤師

がん治療というと、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療など、西洋医学による“病気の原因を除去する”対処が一般的です。一方、漢方では患者の免疫力を高めることにより、がんに対処します。「漢方薬には患者の免疫力や自然治癒力を高める力があります。また、手術や抗がん剤治療、放射線治療などで衰弱した患者の生命力を立て直すのにも有効です」と幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは話します。

Aさん(男性、69歳)
「大腸にできたがんが骨盤に転移しました。抗がん剤による治療を始めましたが、だるさや排尿痛などの副作用がつらくて中断しました」

 Aさんは、3年前に検査で大腸がんが見つかり、手術を受けました。それまで病気とはまったく縁がなかったので、ショックだったそうです。しかし手術は成功し、持ち前の体力と気力で予後も順調でした。ところが数カ月前の定期検診で骨盤への転移が見つかりました。さっそく抗がん剤治療を始めたところ、副作用が強く、抗がん剤治療は中断しました。

 Aさんは、昔から軟便ぎみです。また、比較的汗っかきで、とくに夏場は上半身に汗をたくさんかきます。体型は痩せ形で、いくら食べても太りません。舌は白くぽってりとしており、その上に白い舌苔がべっとりと付着しています。

がん治療というと、西洋医学による“病気の原因を除去する”対処が一般的だが、漢方では患者の免疫力を高めることによりがんに対処する。(©lightwise -123rf)

 がんは、それまで正常だった自分自身の細胞が突然がん細胞に変わることにより起こる病気です。人体を構成する細胞は、毎日細胞分裂を繰り返し、少しずつ新しい細胞と入れ替わっているわけですが、その過程で、健康な人の体内でも、毎日およそ数千個のがん細胞が発生しているといわれています。健康ならば自分が持つ免疫力がそれらの細胞を除去してくれます。しかし、免疫力が低ければ除去しきれず、がんを発症することになります。がんになるか、ならないかは、その人がもつ免疫力に大きく依存しています

がんの漢方治療の基本は「扶正」

 漢方には「扶正祛邪(ふせいきょじゃ)」という治療原則があります。扶正とは、正気を扶助する、つまり人が生きるために必要な機能を高め、物質を満たすことです。そして祛邪とは、病邪を祛除する、つまり病気を追い払うことです。病気の背景に正気の衰弱がみられる場合は「扶正」を主とし、病邪の勢いが強いがために病気になっているようなら「祛邪」を旨とする、これが漢方の治療原則です。

 祛邪については、手術、抗がん剤治療、放射線治療など、西洋医学が効果的です。漢方が力を発揮できるのは、扶正祛邪の「扶正」の部分です。患者の免疫力を高めることにより、がんの治療を進めます

 基本的には、ほかの病気と同じように、まず患者の証(しょう)をしっかりと把握して、それに合わせて処方を決めます。一人ひとり、弱っている機能や足りない物質は異なります。その弱点を漢方薬でカバーすることにより、免疫力を高め、がんに対処していきます

 がんの再発予防、あるいは転移や浸潤を抑えて悪化防止をしたい場合も同じです。川の氾濫が懸念されるとき、川が氾濫して洪水になる前に堤防を作り、あるいは修復、補強、強化しておくことが漢方薬の「扶正」の役割です。

 漢方薬は、手術や抗がん剤治療、放射線治療などで衰弱した患者の生命力を立て直すのにも有効です。がん細胞に対して直接攻撃する力は放射線や抗がん剤に及びませんが、患者の免疫力や自然治癒力を高める力が漢方薬にはあります。また、抗がん剤や放射線治療の副作用を和らげるのにも漢方薬は使われます。

 花屋を営む友人に「漢方って何?」と聞かれたとき、「草木が弱ったり病気になったりしたときに何をするかを例にすると、西洋薬は農薬で、漢方薬は肥料みたいなものだ」と答えると、友人ははたと膝を打ち、大いに納得してくれました。農薬で害虫を殺すのか、肥料で草木を丈夫にして害虫に負けない草木にするのか。がんの漢方治療に関しては、とりわけ肥料としての漢方薬の役割が大切だと思われます。

 漢方薬は、がんに対して懸命に「扶正」し、病巣の拡大や転移を食い止め、手術などによるダメージからの回復を促し、抗がん剤治療などの副作用の軽減にも役立つものです。

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