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幸福薬局・幸井俊高の しあわせ漢方

「月経不順」に効く漢方(後編)

「血」「腎」「痰湿」を改善し、「経血量の異常」を解消していく

 幸井俊高=薬石花房 幸福薬局代表・薬剤師

経血量が少ない場合(過少月経)には二陳湯など

Bさん(女性、35歳)
「生理の量が少なく、将来ちゃんと妊娠できるか心配です」

 Bさんは、ぽっちゃりとしたタイプの35歳の女性です。経血は淡紅色で、ねっとりとしています(粘稠)。おりもの(帯下)が多いのも気になります。舌には、べっとりとした白い舌苔が付着しています。

 Bさんの証は、「痰湿(たんしつ)」です。前述したように、痰湿とは、体内にたまった過剰な水液のことです。痰湿が血の流れを阻害するため経血量が減り、過少月経になっています。淡紅色で粘稠な経血、肥満傾向、帯下が多い、べっとりとした白い舌苔などは、この証の特徴です。月経周期に影響して月経が遅れることもあります(稀発月経)。腹部膨満感、吐き気、口が粘る、などの症状を伴う場合もあります。

 この場合は、漢方薬で痰湿を取り除いて体質を改善し、過少月経を治していきます。代表的な処方は二陳湯(にちんとう)です。Bさんは二陳湯を服用し、4カ月後には経血量が増え始め、経血の色や状態もよくなっていきました。体重も減り、喜ばれました。Bさんは翌年、妊娠しました。

幸井さんによる月経不順のセルフチェックリスト・その3。症状や体質によってふさわしい漢方薬が異なります。
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 上腹部の膨満感、口が粘る、などの症状が強い場合は、平胃散(へいいさん)を使います。元気がない、疲れやすい、など気虚の症候も伴う場合は、六君子湯(りっくんしとう)がいいでしょう。

 「血虚(けっきょ)」証の過少月経も多くみられます。人体に必要な血液や栄養が不足している体質です。偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、この証になります。血が不足しているために経血量が少なく、過少月経になります。月経周期が遅れる場合もあります(稀発月経)。髪のつやがない、爪が割れやすい、目が疲れる、などの症状がみられることもあります。

 この体質の場合は、漢方薬で血を補い、過少月経を治します。代表的な処方は四物湯(しもつとう)です。

幸井さんによる月経不順のセルフチェックリスト・その4。症状や体質によってふさわしい漢方薬が異なります。
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 血虚に加え、疲れやすい、元気がない、など気虚の症候もみられる「気血両虚(きけつりょうきょ)」証の場合は、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を使います。

 月経時に腰痛が生じ、めまい、耳鳴り、足腰がだるい、などの症候があらわれる場合は、「腎虚(じんきょ)」証です。腎精を補う六味地黄丸(ろくみじおうがん)八味地黄丸(はちみじおうがん)を使って体調を立て直し、過少月経を治療します。

◇       ◇       ◇

 前回は、月経の“周期の異常”について、そして今回は月経の“量の異常”について見てきました。頻発月経や過多月経は、気虚や血熱など、血の統制がとれない証によくみられ、稀発月経や過少月経は、血虚や痰湿など、血が不足や阻滞(そたい)している証によくみられます。

 このように漢方では、病気や症状が違っていても、体質が同じならば同じ処方で治療を進めます。これを「異病同治」といいます。病名や特徴的な症状に左右されず、ひとりひとりの証を正確に判断して処方を決めることが重要です。

幸井 俊高(こうい としたか)
「薬石花房 幸福薬局」代表
幸井 俊高(こうい としたか) 東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に帝国ホテルプラザ内に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)、『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。
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