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森山紀之の「拝啓 これからがんになる皆様へ」

まゆつばの治療法が魅力的に映る理由

「絶対治る」は絶対信用できない

 森山紀之=東京ミッドタウンクリニック健診センター長 常務理事

その言葉は、ある日不意に言い渡される―「がん」。次の瞬間、多くの人は「死」を初めて実感し、我が人生を改めて振り返る。今は日本人のおよそ半分が、なんらかのがんにかかる時代。がんをきっかけに診察室で繰り広げられる人間模様とともに、がん治療の最前線を歩み続ける医師が綴る、現代人に贈る生き方の道しるべ。

混乱する原因は周りからどんどん集まる情報

 がんの告知を受けたとき、多くの人が不安定な精神状態に陥ってしまい、疎外感や孤立感にさいなまれる「魔の2週間」を経験することを、前回お伝えしました。

 では、このつらい時期を乗り越えると、人はどんな行動をとるのか。大まかに言うと、告知を周囲に伝えず、がんの告知自体が「なかったこと」であるかのように振る舞う人と、自分の病気を大騒ぎして吹聴して回る人の2通りに分かれます。

「不思議なことに、がんになったとの情報が周りに知れ渡ると、いい情報も信ぴょう性に乏しい情報も、一気に患者のところに集まってきます。なかには名医紹介など、さらに患者を判断を混乱させる話も増えていきます。主治医を含めて、まずは1つの土台を作ることが大切です」(森山さん)。(©imtmphoto-123RF)
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 前者は、例えば会社を経営していて、自分ががんであることが周囲に知られると、取引に悪影響が出ると考えるようなタイプ。芸能人の方もがんであることを伏せていることが少なくありません。

 一方、大半の方に当てはまるのが、後者の大騒ぎをするタイプです。黙っているよりも、動き回って、いろいろな人と話をしたほうが、精神的にラクになれるといった患者さんの声もあります。

 後者のタイプが多いのは、患者さんを支える家族もまた同様で、「うちの夫が肺がんで」「おばあちゃんががんになっちゃって」と、あちこちに話をして歩きます。そうすると、がんは案外、身近な病気だったりしますから、あっちにもこっちにもがんの“ご意見番”がいて、ふんだんな情報が居ながらにして集まってきます。また、パソコンで調べまくって進行度別の手術方法などの情報を集める人も出てきます。

 その結果起こりがちなのが、情報を集めたのはいいけれどどうにも収拾がつかず、情報に踊らされてしまうというパターンです。

手術をするためには事前の準備に時間がかかる

 かつて、肺がんの疑いでがんセンターにやってきて、3週間後の手術を予約した患者さんがいました。ところがその患者さんはこの3週間が待てなかった。なんでも、その間を利用して情報を集めたところ、知り合いが、「世界一の名医を知っている」「普通は半年以上待たないと手術してもらえないが、私が頼めばすぐに割り込ませてもらえる」などと言ってきたとのこと。世界一にひかれたのか、一刻も早くと思ったのか、自分の順番が来る前に手術をキャンセルしてほかの病院へ移ってしまったのです。

 がんが進行しているにもかかわらず、手術までの3週間、精神的に不安定なまま過ごすのはつらいかもしれません。でも、がんの手術を受けるには、術前検査などのいくつものプロセスを経る必要がありますから、このくらいの時間はかかってしまうものなのです。例えば見かけは丈夫そうでも、検査の結果、心臓に問題があることが見つかったり、すでに全身に転移していたり、ということもあります。そうだとわかれば、心臓に負担をなるべくかけない方法が第一の選択肢になりますし、転移の状態によっては手術をせず、抗がん剤治療に進むこともあります。

 居ても立ってもいられない気持ちは理解できますが、手術まで最低3週間程度はみておく必要があるのです。

セカンドオピニオンは遠慮なく活用する

 がんの研究やがんの治療技術の開発はまだまだ発展途上にあり、未知の領域がたくさん残されています。また、病態は「患者さんが100人いれば100態ある」と言えるほど多様です。そのため治療法も多く、標準治療のガイドラインが定められている一方で、一つの治療法だけを専門に行う医療機関や医師も存在します。それだけに、私たち医師は、治療の選択の基礎となる十分な情報提供を行い、患者から同意や納得を得ること(=インフォームドコンセント)が欠かせません。

 さらに、患者自身が納得できる説明を求めるために、主治医以外の意見を聞くセカンドオピニオンを希望する人も増えています。わからないことを聞く相手は、まずは主治医ですが、もしも納得できないときやそのほかの可能性を探りたいときには、セカンドオピニオンを求めることに、患者として何の遠慮も躊躇(ちゅうちょ)する必要もありません。

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