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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

脳卒中予防のため、「葉酸不足」にご注意を!

アルコールの摂り過ぎも葉酸不足の原因に

 大西睦子

食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
妊娠を望む女性や妊婦が摂取するとよいと推奨されている葉酸ですが、男女の別なく高血圧症の成人にも重要な役割を果たすことが分かってきました。今回は葉酸について解説します。

葉酸の摂取は、脳卒中や心臓発作のリスクを下げる効果もある。(©Oleg Dudko/123RF.com)

 「葉酸サプリメント」を日本のインターネットで検索すると、「妊活」や「プレママ」といったキーワードが出てきます。実際、厚生労働省でも胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減には、妊娠初期の葉酸摂取が有効として、摂取を推奨しています。

■参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント-神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

 葉酸は、妊娠を望む女性や妊娠中の女性だけが気にすればいいものと思っている人もいるかもしれませんね。ところが2015年4月7日の米国医師会雑誌(The Journal of the American Medical Association:JAMA)に、北京大学第一医院(Peking University First Hospital)の研究者らが、ある報告をしました。

 これによると、高血圧症に対して降圧剤(エナラプリル、商品名:レニベースほか)に葉酸のサプリメントを組み合わせると、エナラプリル単独と比べて、初回の脳卒中のリスクが減るというのです。

降圧剤と葉酸サプリメントの併用で脳卒中予防に効果あり

 研究は2008年5月19日から2013年8月24日まで、中国の江蘇(こうそ)省と安徽(あんき)省の32の地域において、脳卒中や心筋梗塞の既往のない高血圧の患者2万702人(45歳~75歳)を対象に行われました。

 参加者は
・エナラプリル10mg+葉酸0.8mg投与グループ:1万348人
・エナラプリル10mg単独投与グループ:1万354人
 にランダムに分けられ、その経過を観察していきました。

 4年半の観察期間中、初めて脳卒中を起こした人が、エナラプリルと葉酸を併用したグループでは282人(2.7%)、エナラプリルを単独で投与したグループでは355人(3.4%)となりました。全体を解析すると、併用グループは単独グループに比べて、脳卒中のリスクが21%低いという結果が出ました。特に虚血性脳卒中と、複合心血管イベント(心筋梗塞+脳卒中+心血管死)のリスクが相対的に低下しました。

 このことから高血圧で葉酸不足の成人が、葉酸サプリメントを利用すると、脳卒中予防になるという結果が示されたのです。

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