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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

牛乳は身体に良いのか悪いのか?

1日何杯の牛乳が適量かを科学的に考える

 大西睦子

 食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
 今回は何かと話題になる「牛乳は飲むべきなのか?」という話題を解説します。

人間だけが、大人になっても、ほ乳類の乳を飲んでいる

人間は5000年前から牛乳を飲んできた。(©Valentyn Volkov/123RF.com)

 私たち人類の直接の祖先は、今から、約十数万年前にアフリカで誕生しましたが、そのころは、水か母乳しか飲むものはありませんでした。赤ん坊は母乳を飲んで、離乳したら水を飲んでいたのです。紀元前9000~2000年ごろになると、人間はヤギやヒツジの乳を飲み始めました。5000年前ごろから、カルシウム、ビタミン、脂質やタンパク質などの栄養素を豊富に含む牛の乳を飲むようになり、現代にいたるまで栄養価の高い食品として利用してきました。

 こんなに人類と長いお付き合いの牛乳ですが、最近は体に良い、悪いなど、いろいろな情報が流れています。何と言っても、牛乳の消費量の多い米国では、特に議論がさかんです。

米農務省が勧める1日3杯の低脂肪牛乳って本当?

 米農務省は、9歳以上の男女は、牛乳を1日3杯(2~3歳は2杯、4~8歳は2杯半)飲むことを推奨しています。ところが2013年に、栄養疫学研究の第一人者であるハーバード大学のウォルター・ウィレット教授と、デビッド・ルートヴィヒ教授は「1日3杯の低脂肪牛乳はエビデンスに基づく推奨か?」という論文を報告し、地元のボストングローブ紙の取材を受けています。

 ルートヴィヒ教授は、次のように述べています。

 「この推奨を支持する強い科学的な証拠はありません。牛乳を食事から排除するべき、というわけではありませんが、もっと大まかな範囲がより適切でしょう」「いわし、ケール(アブラナ科の野菜。キャベツの変種)や豆など、カルシウムの豊富な食材を取り入れている大人は、牛乳から受ける恩恵は少ないでしょう。ただし、貧しい食生活の子供の場合は、骨を強くするために、1日3杯の牛乳が必要かもしれません」。

 結局、牛乳だけではなく、緑黄色野菜、海藻、大豆製品や小魚などいろいろな食品からカルシウムをとることが一番良い方法なのです。厚生労働省は、成人の目標として、カルシウムに富む食品(牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜)の1日当たりの摂取量を牛乳・乳製品130g、豆類100g、緑黄色野菜120g以上としています。

 1日に必要なカルシウムの摂取量は年齢、性別で異なり、成人男性で650~800mg、成人女性で600~650mgが推奨されています。なおコップ1杯(200ml)の牛乳にはにカルシウムが227mg含まれています。

 では最近、牛乳を飲み過ぎると問題だと騒がれているのはなぜでしょうか?

 実は牛乳の脂肪分による肥満も問題ですが、最近さかんに議論されているのは、がんとの関係です。

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