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有森裕子の「Coolランニング」

「有森さん、スピードを上げる練習をすると膝が痛くなります。どうすればいいですか?」

痛みが生じたらまず治療、次に負荷のかからないトレーニングを!

 有森裕子=元マラソンランナー

痛みの原因を自分で考え、医者任せにしない

 まず痛みが生じて治療に行く前に考えてほしいのは、どんな練習をしたら痛くなるかです。この相談者であれば、インターバル、ビルドアップ、タイムトライアル、ダッシュといったように、いったいどのスピード練習をすると痛みが出るか。また、どんな風に走ると、どこにどんな痛みが生じるのかを、自分の口で医師に説明できるように分析しましょう。

 サブスリーを目指すレベルのランナーであれば、ただ「痛い」と言って医師任せにするのではなく、自分の体や走り方を理解しようとする意識は持っていたいもの。でなければ、もし痛みが治まったとしても、また同じ練習をすれば痛みが再発し、いつまでたっても、サブスリーに到達できるような練習はできません。

 文字だけのお悩み相談でもどかしいのは、私が相談者の実際の走り方を見られないことですが、走り方一つにしても、足首や足裏がどんな角度で着地をしているか、上体がどんなフォームになっているかなど、一人ひとり違います。スピードを上げると痛みが出るということは、思いきり力を入れた時にフォームや左右のバランスが崩れたり、足の着地の仕方に癖が表れたりしている可能性が考えられます。その原因を探るべく、シューズの裏の減り具合を確認し、足裏のどの位置で着地をし、膝が内向き、あるいは外向きになっているといった、自分の動きを確認して分析するのも一つの手です。

 もし、練習パートナーやご家族がいらっしゃるのであれば、普段からスピード練習の様子などをスマートフォンの録画機能を使って撮影してもらえれば、フォームを見ながら原因を分析することができます。お金はかかりますが、ランニング教室に通って専門の先生に見てもらうのもいいかもしれません。シューズを替えたり、フォームを改造したりするといった何かしらの対策につなげられます。

 タイムなどの数字ばかりに気を取られ、ノルマをこなすことやランニングアプリの指示通りに練習することばかりに意識が向くと、“自分の体を見る”ことを忘れがちになります。もっと自分の体と対話し、痛みが生じれば自分の体をチェックしてその原因を探る。アプリに合わせるのではなく、自分の体に練習を合わせることが、ケガを防ぐ上では重要です。

痛む部位に負担がかからないトレーニングを

 さて、ご質問の本題「どのような練習メニューを追加すればいいか」ですが、まず上体の筋肉を鍛えるトレーニングをお勧めします。腹筋などを含めた上体を鍛え、腕がしっかり振れるようになれば、腰から下の部位にかかる負荷を軽減できます。

脚の痛みが良くなったら、負荷のかかりにくいトレーニングから取り入れて。(C) lightpoet-123rf

 膝などに痛みが残っている時は、浮力で負荷がかかりにくい水中トレーニングも良いでしょう。例えば、プールで腕をしっかり振りながらウォーキングするトレーニングがあります。なるべく足を使わずに上半身を鍛えるには、脚にビート板を挟んで腕かきだけのクロールで泳ぐ練習でも上体は鍛えられます。走れない時は持久力が落ちますから、この練習なら呼吸器官もある程度、鍛えられるでしょう。

 膝の痛みがなくなってきたら、膝周りの筋肉を鍛えるといいでしょう。自重でのスクワットでもいいですし、階段の上り下りも効果的です。ウエイト機器を使ったレッグカールもいいでしょう。重りの負荷を上げてもし痛みが出てきたら、脚に力を入れた時に、屈伸した時の膝やつま先の向きが体に対して真っすぐ(平行)になっているかを確認しましょう。こんなところからも、負荷をかけて思いっきり脚に力を入れた時、あるいは回数を重ねて筋肉が疲労してきた時に、左右の脚のバランスの崩れや癖が表れるといった、痛みの原因が見えてくるかもしれません。

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